オリンピックを中止にすることによって感染者数は減るのか

今の日本はオリンピック一色と言っていいだろう。連日の日本勢の活躍によってオリンピックはかなり盛り上がっている。
 
一方で、コロナの新規感染者は都市部を中心に増加の一途を辿っている。東京では3000人を超え、あっさりとこれまでの最多人数を上回ってしまった。
 
さて、このコロナの新規感染者数とオリンピック、関係はあるのだろうか。個人的な見解としては、このブログにも書いたが、基本的には因果関係はないと思っている。
 

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しかしながら、医療関係者を中心に、依然としてオリンピックの中止を求める声も聞こえているので、それはどういった理由からなのだろうかと思っていたら、中止を求めている京都大学大学院の西浦博先生のインタビュー記事があったので、さっそく読んでみた。

 

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概略は以下のような感じだろか。
 
・東京を中心とした感染はデルタ株が主流になって、実行再生産数が高い状態で推移している
・高齢者のワクチン接種が進んでいるため重症者は減っているが、軽症・中等症の入院患者数は、コロナ用に確保している病床のキャパシティーを超える見通し
・救急医療が逼迫して、コロナで救急で行き場のない人が出てきて、それに影響を受けて通常医療の救急で行き場のない人が出てくる
・緊急事態宣言は効いていないわけではないが、デルタ株の感染性の上昇が強過ぎるので、宣言の減少効果が足りない
・オリンピック選手や関係者の感染が、一般のコミュニティに広がって増えている、というものではない
・一方で、夜間の滞留人口データから見て、人出はオリンピック前後で著しく減っているわけではない
・しかしながら、オリンピックを開催することによって人の流れが増えることや、感染拡大防止の声が届きにくくなっている、とくにステイホームを呼びかけないいけない人たちに声が届いていない
・そういった人たちに危機感をもってもらうためにも、オリンピックを中断して安心・安全を守るという姿勢を示さないと、通じないと思う
・オリンピックを中断するのは一つのショックセラピーであって、これだけで感染を抑制できるものではない
 
要は、オリンピックが感染拡大の原因ではないが、オリンピックを開催することによって危機感がなくなっており、また感染抑制を呼びかける声が届いていないことが問題で、そのためにはオリンピックを中止してでも、感染抑制を訴えかけないといけないと主張されている。
これはこれで筋が通った主張で、医療関係者を中心にオリンピックを中止するべきという理由については、私自身納得することができた。
 
ただ、正直なところ、もうはじまってしまった段階でオリンピックを中止にするのは政治的にはかなり難しいであろう。
すでにこれだけの盛り上がりを見せている中、急に止めますとは言いづらいし、また国内だけではなく国際的な問題でもあるので、そういった決断はできないであろうと推察する。
 
ではどうすればいいか。これ関する妙案はないが、ひとまずは首相なり都知事なり、責任者が正面からコミュニケーションを取るしかないのではないだろうか。
オリンピックは国際的な約束でもあることから引き続き開催する、しかしながら感染状況はかなり厳しい段階に入ってきているので、出歩くことは避けてくれ、と。
オリンピックとステイホームは両立できるはずなので、それをきちんとお願いするということが必要なのではないかと思う。
 
それで効果があるかはわからないが、やってみる価値は大いにあると思った次第である。
 
ということで、オリンピックが感染拡大の原因ではないが、オリンピックを止めてでも危機感を伝えて感染抑制をしないと医療崩壊につながる、という西浦先生の話の紹介でした。