オリンピックと感染者数増は擬似相関

前回の記事で、緊急事態宣言の効力はまだあるのではないかということを書いた。
夜遅くもしくは朝まで飲むようなリスクレベルの高い人たちにはもう効かないが、一般的な大人な人たちには依然としてある程度は有効であるのではないかということであった。
 
前回の記事では、飲みに出る頻度と1回あたりの時間の長さで、飲みに出る人たちを分類してみたのだが、この表を見ながら思ったのは、リスクレベルが高い人たちはオリンピックがあろうがなかろうが夜遅くまで、もしくは朝方まで飲むんだろうなということ。
オリンピックが行われることで気が緩むという仮説をよく聞くが、気が緩んでいる人はすでに緩んでいるということである。
緊急事態宣言も出ていることで、大半の人は家でオリンピックを感染することになると予想する。
 
これまで日本国内では、野球やサッカーなどのスポーツ観戦の場でクラスターは発生していない。加えて、観戦後に飲みに出て感染したというケースもあまり聞かない。音楽関係のイベントでも同様である。
会場となる大規模施設は換気のシステムがかなり充実しているし、主催側は必要以上に感染対策をしているが、それに加えてこういったイベントに参加している人は、リスクレベルが低い人が多く、少なくともイベントに参加しているときは節度のある行動をしている人が多い、と言えるのではないだろうか。
 
こういったことを諸々勘案すると、今回のオリンピックの期間中におそらく感染者数は増えるだろうが、それはオリンピック自体とは関係が薄いと見るのが妥当であろう。
オリンピックの開催と新規感染者数は擬似相関であって、因果関係は強くない可能性が高いのではないかということである。
ましてや、今回は無観客での開催がほとんどである。観客を入れていたとしても、そこで感染が増加するということは考えにくいのだが、その観客もいないということであればオリンピックと感染者増は関係は薄いと言っていいだろう。
 
ちなみに因果関係が成り立つには、以下の3つが条件はすべて当てはまる必要がある。
・相関関係がある
・因果の方向性が逆でない
・他の原因が可能性が排除されている、
 
今回の場合は、相関関係は成り立っており、逆の因果の可能性はないが、自粛疲れということですでに多くの人が街に出てしまっているという他の原因が排除できていない。
逆にオリンピックを家で観戦するために、飲みに出る人が減って、感染者数が減るという負の相関が出る可能性もあると思う。
 
ただ、これはあくまで予想なので、オリンピックと感染者数に因果関係がありそうかどうかは確認していきたいと思う。
 
ということで、擬似相関にだまされないようにニュースをウォッチしていきたい、という話でした。