まん防を継続すべきかどうかという問題~正解があると問題と正解がない問題が混在している問題例

新型コロナウイルスの感染者数は、ピークをこえたようではあるが、依然として高い水準で推移している。今回の第6波は感染者数の減少のペースは、増加時に比べて緩いように見え、まだまだ予断を許さないと考えている。
 
さて、そんな中、政府分科会で分科会委員の大竹文雄・阪大特任教授は、まん防継続に反対の意見を述べたという意見が出た、というニュースがあった。
このニュースを受けて、Twitterなどを見ているといろいろな意見が飛び交っている。
ビジネスパーソンほど、この大竹教授の意見に賛同を示している人が多いような印象だが、私の意見は反対である。
なぜなら、まん防などの行動制限をやめてしまうと、感染者数が再び増加に転じ、医療崩壊を起こしてしまうと考えるからである。
 
私のコロナ政策に関する意見のスタンスは、医療崩壊を起こすか起こさないかという基準で考えている。
医療崩壊を起こさないということであれば、徐々にコロナもインフルエンザや普通の風邪と同様の扱いとして、政策的にもそれにあわせていけばいいと思うが、現時点でさまざまな制限を解除してしまうのは早計だと考えている。
 
私はそのように考えているのだが、Twitter上で議論していると、それでも若者にこれ以上我慢させるのはよくないということで、まん防などの制限は解除すべきであるという意見が散見された。
また、まん防などの制限を解除しても、医療崩壊が起きない方策を考えることは可能ではないかという意見もあった。
 
ここで、この問題を整理してみたいと思うのだが、意見は以下の3つに集約できるかと思う。
 
A.まん防などの制限をすべて解除すると、医療崩壊が起きる、だから制限は解除すべきでない
B.まん防などの制限をすべて解除すると、医療崩壊が起きる、それでも制限は解除すべきである
C.まん防などの制限をすべて解除しても、医療崩壊は起きない、だから制限は解除すべきである
 
※理論上はもう1つあって、「D.まん防などの制限をすべて解除しても、医療崩壊は起きない、だけど制限は解除すべきでない」というのもあり得るが、ここでは除外する。
 
さて、この問題、構造的には2つに分かれていて、1つめは「まん防などの制限を解除すると、医療崩壊が起きるかどうか」、もう1つは「それを受けて制限を解除すべきかどうか」。
この問題、 ちきりん氏の「自分の意見で生きていこう」を受けて、昨日のブログに書いた、正解がある問題と正解がない問題が混在している問題だと思っている。

 

chikaran.hatenablog.com

1つめの「まん防などの制限を解除すると、医療崩壊が起きるかどうか」は正解のある問題だと私は考えている。

この問いに対する答えを知っているのは、感染症の専門家で、ある程度の範囲内で予想できると思う。そして、私がウォッチしている専門家の中で、現段階(2022年2月)での状況下で行動制限を解除しても大丈夫と言っている人がいないことから、この問いに対する答えは、「制限を解除すると医療崩壊は起きる」であると認識している。
よって、C(とD)の選択肢は削除される。
ちなみに、上述の大竹教授は経済学者であり、この問いに対する答えを持っている人ではない。もちろん、だからといって分科会に参加する意味がないと言っているわけでなく、それを受けて何に税金を投入すべきかについては意見や選択肢を挙げてもらえればいいとは思う。ただ、感染者の推移や重症化の確率云々に関しての知見が求められているわけではない。
 
それに対して、2つめの問題は答えのない問題で、それぞれの価値観で意見が分かれうるとは思う。
医療崩壊が起きたとしても、それでもこれ以上若者に我慢をさせるべきではないという意見はあってもいいと思う。ただ、医療崩壊が起きてしまえば、早晩若者も再度我慢を強いられることになるだろうと考えているので、私はこの意見には与さない。
 
もちろん、1つめの問題も、専門家がそう言うからと言って本当にそうなのか、と疑い目で見て、制限を解除しても医療崩壊が起きないような方策を考えることを否定はしない。ただ、私はそこまで考える知識も情報もないので、専門家の知見が正しいとして考えることにしている。
 
ということで、まん防継続に関して、いろいろな意見が飛び交っているが、整理してみるのに、正解のある問題と正解のない問題というフレームが役にたった、という話でした。