GO TO TRAVELキャンペーン、文法的にどうなのかというツッコミは置いておくとして、このキャンペーンを巡って世論が二分されている。
二分されているといっても、反対が大多数で、賛成は少数だろうが。
反対の理由は単純明快で、このコロナが蔓延している(さらには拡大している)中で、人の移動を促進するようなキャンペーンを実施するなんて信じられない、といったところだろうか。
一方の賛成している人たちの意見としては、大きく2つに分かれると思う。
1つは、このままでは旅行業・観光業がもたない、何かしらの助成策をうたなければ業界全体が衰退してしまうので、キャンペーンを実施すべし、という意見。
もう1つは、感染の原理をしっかり理解していれば、旅行自体はそれほどリスクの高い行為ではない、という意見。
賛成派の2つめの意見をもう少し詳しく説明すると、少人数での旅行であれば、旅行の構成要素である、移動・食事・宿泊、それ自体は感染リスクは高くないということである。
この「少人数であれば」というところがミソである。家族くらいの人数での旅行であれば、たしかにリスクは高くない。
まず、移動については、車で移動するとした場合、もし家族に(無症状の)感染者がいたとしても、それは家にいようと車でいようと感染リスクはあるが、他の人から感染するリスクも他の人へ感染させるリスクはなく、車で移動することで感染リスクは高くならない。
では、公共交通機関での移動はどうだろうか。少なくとも、飛行機や新幹線は換気システムがすぐれているので、密閉状態にならず感染リスクは高くない。バスやタクシーでも感染リスクはゼロではないが、時間も短いし、マスクしていれば、大きな問題ではないだろう。
宿泊自体も同様で、他の人と長時間話をする可能性は低く、ここでも感染リスクが上がるわけではない。
食事についてはちょっと気をつけないといけないといけないが、旅館での食事ということであれば、基本問題ないと判断していいだろう。
観光地にいったときにどうかということはあるが、ここでも感染者と長時間・短距離・マスクなしで会話するといったシチュエーションを考えにくく、うつすこともうつされることも、可能性とはしてはだいぶ低いと考えられる。
要は、3密と避けて、手洗い・アルコール消毒をきちんとやっておけば、家族で行くような少人数の旅行は問題ないというわけである。
ただ、団体旅行となると別である。この中に感染者がいたとすると、まずはグループ内での感染リスクが高まる。
さらには、アルコールが入ったり、集団心理がはたらいたりして、気が大きくなり、いわゆる夜の店に行くなどの行動を犯しがちになる。自分たちだけは大丈夫と思ってしまうのである。
もちろん、自分たちだけは大丈夫な確率はそれなりにあるだろうが、こう考えるグループが多くなればなるほど、全体で見ればクラスター発生の確率が上がる。
このミクロとマクロの誤謬がウイルス感染の難しいところだが、こういう人たちが一定以上いるだろうということで、キャンペーン自体やるべきではない、という意見も頷けるところとなる。
というわけで、私自身は、このキャンペーンに関しては、総論反対(上記のようなことを理解している人は少ないだろうから)、各論賛成(自分はこのキャンペーンを使って近場に行ってこようと思う)といったところだろうか。
と、ここまで前段が長くなったが、ここからが本題。
以上書いたように、ウイルス感染の原則論を理解しておけば、それほど感染のリスクは高くないし、少なくとも大型クラスターを発生させてしまうようなことは避けることができる。
だとすれば、この原則論を理解できる人たちが、ある一定以上にまでなれば、ワクチンが開発されなくても、ワクチンと同様の効果が得られるのではないだろうか、と思い至った。
ワクチンを接種する人(抗体をもっている人)が6割超えると、感染は減少傾向になると言われている。もちろん、ワクチンのように、3密業種含めて、コロナ前の状況に戻ることができるというわけではないが、上で書いたくらいの知識を全体の6割くらいが理解できれば、過度に経済を抑制しないような暮らしは実現するのではないかと思う。
政府や自治体、メディアも、「3密を避けましょう」「手洗い・アルコール消毒をこまめにしましょう」というわかりやすいメッセージを発することも大事だが、なぜそうなのか、の部分もそろそろキチンと説明してはどうだろうか。
感染ルートの種類、暴露と感染と発症の違い、無症状感染者の特徴、あたりが理解されれば、なぜそのような行動を取らないといけないのかがわかり、自分でどう行動すればいいか判断できるようになる。
それでも、感染者はいくらか出るだろうが、大規模なクラスターは発生しにくく、小規模であれば追っかけることもやりやすい。感染拡大防止と経済が高いところでバランスできると思うのだが、どうだろうか。
ということで、自分は地道にまわりの人たちに啓蒙活動していこう、と思ったという話でした。