ウイルス感染の原理を「理解している」人は相当少ない、という前提にたって考える

私自身、新型コロナウイルスの感染の特徴は、だいたい理解できるようになったと思っている。専門家ではないので、詳しいところ細かいところは知らないことのほうがもちろん多いのだが、ここを押さえておけば大丈夫だろうというレベル感では理解できていると思っている。
 

chikaran.hatenablog.com

詳細は上の記事で書いたが、簡単に復習しておくと以下のようなポイントになる。

・感染ルートは主に2つで、飛沫感染がメイン、接触感染がサブ。接触感染は手洗い・アルコール消毒で対応すれば、それほど神経質になる必要はない。
・ウイルスが入ってきたからといって感染するわけではないし、感染したからといって発症するわけではない。
・無症状の感染者からは短距離かつ長時間しゃべらないと感染しない。
 
要するに、熱や咳などの症状のある人がいなければ、そうそう感染しないということである。
新型コロナウイルスは、無症状の感染者から感染するかもしれないということが怖れられているが、そういう人からは、よほど短距離で長時間、話をしなければこれまた感染しないのである。
 
ということで、具体的な対策は大きく2つ。
・熱や咳などの症状があったら休む、もしくは施設やイベントには入れない。(有症状者はその場から(言葉は悪いが)排除する)
・3密になるような場所に行かない。(無症状の感染者からの感染リスクを下げるため)
 
ということで、この程度のことくらいでいいので、「理解している」の人が増え、対策を徹底することができれば、大方の感染は止められるのではないだろうかと思っている。もちろん完璧ではないが、大きなところを抑えることができれば、あとは個別に発生しても抑え込むのは楽になる。
 
だが、どうも報道やまわりの人の反応を見ていると、このくらいのちょっと考えればわかるくらいのレベルのことも理解できていないように思う。
 
多くの人は依然として、感染している人に近づいたら感染する、東京のような感染が蔓延している地域に行くと感染する、ウイルスが1つでも入ってきたら感染する、と錯覚している。
感染リスクが高い場面を、高い解像度で想像できないので、すべて怖いからなんでも規制すべきとなってしまう。
ちなみに、ここ数日、家族やまわりの人たちに、上のような説明をしたら、むやみに怖がる必要はないということは理解してもらうことができた。
 
一方、逆にコロナはただの風邪だということで、ノーガードでいい、という人もまだある一定数いる。
これはこれで、やはり危険な考え方だと思う。どういう場面では感染リスクが高いかという理解がないので、知らずしらずのうちに感染してしまうということが起こりうる。そして、そこから家族に感染させて、というループに入ってしまい、現状感染者数は増加の一途を辿っている。
 
自粛推進派もノーガード派も、どちらも極端で、基本を理解しようという姿勢がない。
ちょっとした原理というか基本を理解しておけばいいのだが、誰も説明してくれないし想像もできないといったところだろうか。
 
どちらにしろ、この「理解している」人が少ないということが、日本の新型コロナウイルス感染対策における、1番のボトルネックではないだろうか。
 
さて、そうなると、今後の取るべき対策は、大きく分けて次の2つになる。
1.「理解している」人が少ないのであれば、理解させよう
2.「理解している」人が少ないという前提で、対策を考えよう
 
個人的には1の方向で進めてほしいと思うのだが、少なくとも政府やマスコミには1のような姿勢は見られない。
マーケティングキャズム理論ではないが、おそらく1年後か2年後かくらいの未来には「理解している」人の数も2~3割程度に達し、そこからは一気に理解が進むと思われる。
しかし、それまでは2の「理解している」人が少ない前提で、いろいろな政策が考えられるのであろう。
ワクチンの開発が早いか、ウイルス感染に対する理解が早いか、どちらが早いかはわからないが、どちらかが浸透するまでは、今のように感染が拡大すれば引き締め、ちょっと少なくなれば緩むの繰り返しになるのだろう。
 
ちなみに現在問題となっている「GO TOキャンペーン」。
個人的には、少人数かつ夜の街(いわゆる接待を伴う店)に出歩かない前提の旅行であれば、ウイルス感染のリスクは限りなく低いと思っている。ここをみんなが守れるのであれば、このキャンペーンも問題ないと考える。
しかし、ウイルス感染の原理を理解している人が少ないという前提に立つと、多くの人が旅行に出てしまうので、その中で割合は少ないと思うが、それでもある一定数の人たちが原則から外れる行動をとってしまって、ウイルス感染の拡大という結果になってしまうだろう。
ウイルス感染の原則を「理解していない」人が多いという前提では、やはりやってはいけないキャンペーンということになる。
 
ということで、微力ながらウイルス感染に関する原理を伝えていくことを、コツコツやっていこうと思ったという話でした。