子育てしている母親の機嫌は複利で悪くなる

新型コロナウイルスに関連して、医療キャパシティを十分を確保しておかないといけないという記事を書いた。
『いつも「時間がない」あなたに』で紹介されている、チェンナイの露天商の借金問題を引き合いに出して、借金にならないように十分な貯金をしておかないと、定期的にやってくる突発的な支出ですぐに借金に転落してしまうことと、十分な医療キャパシティがあるという状態に感染者数を抑えておかないと、突発的なクラスター感染で医療崩壊に至ってしまうことの類似性を示した。
 
さて、この2つの事例を見ていて、もう1つ類似の現象を思い出した。
それは出産直後の母親の機嫌である。
多くの夫の側の人たちは経験があると思うが、出産すると妻というか子どもの母親は変わる。
変わる、という表現ではもの足りないかもしれない。豹変するといったほうがいいかもしれない。
 
うちもご多分に漏れず、変わった。
出産直後からその兆候はあったが、明らかに表面に出てきたのは、退院して実家に戻り、それから2週間程度経って、うちに帰ってきてからだ。
感情の起伏は当然のように激しく、そこらにあるものを蹴ったりする、夜は寝られないので機嫌は悪い。
こちらへの当たりも強くなる。家に帰るときは機嫌が悪くないか祈りながら玄関のドアを開けたものだ。
当時は、私の帰りが遅い日も多く、土日も不在の日が多かったのだが、それもまた気に入らなかったようだ。
 
ただ、そのこと(私が不在なことが多いこと)自体は出産前に伝えてあったし、妻も織り込み済みのはずだった。正直こちらは何も変わっていないのに、何が悪いんだと思ったものだ。
思ったが、反論してもさらに機嫌が悪くなるだけなので、当然のことながら何も言わなかった。加えて、会社から帰ったらとりあえず娘を連れて外に出たり、土日家にいるときは娘と二人でドライブへ行ったり、夜娘が起きたらすぐに飛び起きてだっこをしたり、と自分なりにできることをやってきたつもりだった。
 
しかし今思えば、これは借金にならないようにギリギリの生活をするのと、同じような対応をしていたのだ。
出産後の母親は不安だし、突発的なことに対応したいといけない。必然的に機嫌はすぐに悪くなる。そこで夫の対応が悪く、さらにイライラする。イライラしているときに、子どもが泣き出す(以下、繰り返す)。
と、まるで複利で運用するかのように機嫌が悪くなるのである。
 
この時期の母親の機嫌のキャパシティは極端に低いのである。
なので、機嫌が悪くなってから対応したのでは遅いのである。
機嫌が悪くならないよう、先回りして余裕をもった運用をする必要があったのである。
 
余裕をもった運用とはどういうものか、以下に簡単にまとめておく。
 
1.出産前からできるだけ負担をかけないようにする
この時期から信用貯金をなるべく貯めておくという面と、出産後に向けた練習という面の両面から、早いうちに家事などのサポートに取り組んだほうがいいと思う。
具体的には、皿洗いや洗濯など夫の側でできることはこの時期からしておいたほうがいい。
とくにつわりがひどいと、家事などできなくなるが、こういったときに家事は全部やる!くらいの腹の括り方をして、対応しておくと信用貯金が貯まっていく。
食器乾燥機や全自動洗濯機もあるので、これらを活用すれば思ったほど負担ではない。こういった投資も早いうちにしておいたほうがいいかもしれない。
 
2.出産後は授乳以外すべてやるくらいの意気込みで臨む
よく、出産時の夫の対応は死ぬまで覚えているなどと言われるが、この時期が勝負だと思う。
仕事の量をある程度自分でコントロールできるのであれば、1,2ヶ月くらいはセーブしてこの時期に賭けるくらいでいいかと思う。
育児休暇が取れるような会社であれば、それも検討してもいいかもしれない。
飲み会の回数とかもできるだけ減らす方向で調整したほうがいい。
この時期を脱すれば、多少落ち着きをみせてくるはずだし、徐々に元の生活に戻していけばいい。
 
実はうちも2人目の出産を控えている。次は同じようなことにならないように、今から準備を進めている。
妊娠初期は妻のつわりもひどく、入院したり動けなかったりが続いたので、家事や娘の面倒は自分で全部やった。
今はだいぶ落ち着いてきているが、出産後もしっかりサポートしていきたいと思ってる。
 
ということで、出産後の母親の機嫌は複利で悪くなるので、機嫌が悪くなるかどうかのギリギリで運用していてはダメということを、世の夫(自分含む)は肝に命じておいたほうがいいですよという話でした。