都道府県単位では病床確保しか選択肢はない

11月上旬の現在、全国的に新型コロナの感染者数はかなり少なくなり、新規感染者数0の県も多く出てきている。
このままコロナは収束しそうな感じもするが、どうなるだろうか。
 
さて、先日、県知事のコロナ対策を中心としたスピーチを聞く機会があった。
コロナ対策には真摯に向き合っている印象で、実際ワクチン接種もかなり早く、その点は評価されるべきだと感じた。
 
そのスピーチの中で、今後第6波が来たときに向けて、病床確保をしっかりするという話をされていた。
国からは第5波のときの2倍の感染力であっても対応できるよう、病床確保進めるようガイドが出ているとのことであったが、第5波と言えばデルタ株で全盛で、デルタ株の2倍の感染力といえばそれはもはや空気感染を意味すると思うのだが、それはここでは置いておこう。
実際、このスピーチでは、第5波のとき以上の病床を確保し、来る第6波に備えているとのことであった。
 
このブログでは何度か書いているが、医療キャパシティを大きくすればするほど、感染者の波は大きくなり、それが治まるまでの時間も長くなるため、病床確保は逆効果であると、私は考えている。
いくら病床数を多くしても、感染症なので放っておけばその病床数はすぐに埋まってしまい、その段階になると医療崩壊を起こしてしまう。それであれば医療キャパが大きくないほうが感染者数は少なく抑えられると考えるわけである。
日本が他国に比べて死者が少ないのは、コロナに割ける医療キャパシティが小さかったということも大きな要因だと考えている。
 
ただ、仮にこの考え方が正しかったとして、県知事の立場では病床確保に動くしか選択肢がないことも理解できる。
医療キャパシティを増やさずに、早い段階で緊急事態宣言を出すような施策を打ち出すといった政策を、ある県だけが取ることは事実上できないからである。
 
もしかすると沖縄のような飛行機でしか往来できないような県であればやりようはあるのかもしれないが、それ以外の都道府県では往来の制限をかけることはできない。
そのため、他県で感染が流行すればウイルスは遅かれ早かれ入ってくる。そのとき自分の県だけが医療キャパシティが少なかったとすると、他所の県ではもっと医療キャパがあるのに、なぜうちの県だけ準備していないのだ、ということで知事の責任が問われることになる。
そこで、医療キャパが少ないほうが感染者が少なく済むと力説したところで、その時点で隣の県ではまだまだ余裕があれば、批判は避けられないだろう。
よって、すべての都道府県が病床を確保し、医療キャパを拡充させる方向に走る。病床確保のレースに巻き込まれるのである。
 
結果、おそらくほとんどの都道府県で、第5波よりも多くの病床を確保しているため、第6波が起きたときは新規感染者数は第5波以上になるだろう。
 
それでも病床を確保しておけば、感染者数が増えても、経済を回すことができると思うかもしれないが、それは錯覚だろう。
病床も埋まって医療崩壊の状態になってしまえば、それを横目にそれでも経済を回そうはならないはずなので、結局は病床確保したところで焼け石に水となると思われるが、どうなるだろうか。
 
ということで、都道府県単位では国の方針に従うしかない、という話でした。