ビジネス層に自粛容認派が少ないのは、主婦層と意見が同じだと格好悪いから仮説

この↓の記事でも書いたが、今回の新型コロナウイルスの関して、いわゆるビジネス層というか知識人層の多くと、専門家(今回の場合は医師や研究者)の人たちの意見が異なっているように見える。

chikaran.hatenablog.com

 
当然、専門家でも意見も異なるし、ビジネス層でもみんな同じではないが、例えば緊急事態宣言の解除するか否かについても、それぞれのマジョリティを見ていると、専門家は(感染者数をまだ減らす必要があるので)もう少し継続すべし、ビジネス層は早急に経済を再開すべし、と分かれている。
 
ビジネス層は当然ポジショントークもあるだろうが、今は我慢して感染者数を抑え込むことが、長期的に見て経済にとってもプラスである、という意見がもっと出てきていいと思う。
↑の記事を書いたのがちょうど1ヶ月前。そのときから1ヶ月くらい経てば、ビジネス層でも自粛やむなし派が増えるかと思っていたのだが、現状どうもそうではなさそうだ。
 
いろいろな意見が出ること自体は悪いことではない。ただ、ちょっと偏りがありすぎるなと思ってしまう。
私自身はもう少しだけ我慢することが、長い目で見れば経済的にもいいと思っていて、ある程度の知識・情報とロジックを使えばそういう結論になると思っているのだが、そう思っている人は、まわりの経営者を見ても、Twitterを見ても、1ヶ月前から変わっていない。
東日本大震災のときは、最初みんなパニックになったが、専門家の解説によって、少なくともビジネス層は原発は思っている以上に危険ではないことを理解していったので、今回も同様の現象が起きると思っていた。しかし、そうはなっていない。
 
なぜ、そうならないのだろう、とずっと不思議に思っていたのだが、1つの仮説を思いついた。
それは、ビジネス層は、専門家の話を理解しようとしているのではなく、主婦層と意見が同じだと格好悪いと(潜在的に)思っているという仮説である。
生物学的に見て、一般的には男性は比較的リスクテイクを好み、女性はリスクを嫌うが、男性の多いビジネス層は女性のようなリスクをゼロにしようとする考えを否定しがちになる。
あわせて、ワイドショーの情報に流されるのは格好悪いということもある。
なにはともあれ、この段階で「主婦層と意見が同じだと格好悪い、だから逆を行こう」とスタンスは決まる。
その後は、自分の意見に合致しそうな情報ばかりを集める、さらにそのスタンスは強化される。以下、繰り返しとなる。
抑え込みがコストがかかりすぎるとか、どうせ海外からウイルスが入ってくるから抑え込みはできないとか、そういう意見は後付けなのではないかだろうか。
さらには、今回の新型コロナウイルスの場合は、専門的な記事にはグラフが入ってきたり、指数関数の話が入ってきて、とそれらを敬遠したい誘惑に駆られるのである。
 
要するに、ビジネス層は専門家の意見を見ているのではなく、主婦層の空気を見ていてそれと逆を行っているだけなのである。
そう考えると、東日本大震災時の原発問題とも符号する。
 
以上のように、ビジネス層の多くも自分の頭で考えるというよりは、まわりの空気を見ているだけなので、今後ビジネス層の中で自粛容認派が増えてくればそちらになびいていくと思われる。
ただ、現時点ではキャズムを超えていない。今後、ビジネス層における流れが変わるのか、それともこのままなのか、関心をもって見ていきたい。
 
ということで、専門家の意見には耳を傾けようと思った話でした。