「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」はコーヒーという領域に補助線を引いてくれる良書

私は2年前に、某結果にコミットするジムに通って以来、砂糖入りのコーヒーを飲むことがほとんどなくなった。
別段コーヒーが好きなわけでもなかったが、よく微糖のコーヒーを飲んでいた。しかし、ジムに通っていた期間は飲めなかったので、たまにブラックを飲み、そのまま微糖コーヒーは飲まなくなった。
それ以来、セブンイレブンスターバックスで買うコーヒーでも砂糖は入れないし、最近ではブラックがほとんどになった。
コーヒーの味自体はよくわかっていないが、飲む量自体は確実に増えている。
 
そんな中、キャンプを始め、いろいろな動画などを見る中で、コーヒー豆を引いて、ドリップして、外でコーヒーを飲むを姿を見て、ちょっとした憧れをいだくようになった。
そして、ちょっとコーヒーについて勉強したいなと思いはじめたときに、この本「ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方」に出会った。
ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方

ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方

  • 作者:井崎 英典
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

ちょうど自粛モードに入っており、行きつけのスタバも営業自粛。ベランダでキャンプ用の椅子とテーブルを持ち出して、インスタントコーヒーを飲みながらこの本を読んだ。

結論から言うと、コーヒーというものの全体感を示してくれる良書だった。
私みたいなちょっとコーヒーに関心を持ち始めてきた人がピンポイントのターゲットだったと思うが、非常にわかりやすく、全体像を理解することができた。
おそらく、もっとコーヒーに詳しい人から見ると、当たり前のことが書かれているという感想をもっただろうし、実際Amazonでレビューではそういう感想が多かった。
書籍に限らずだが、ターゲットと内容の一致は大事である。
 
さて、この本で全体感を理解するための2つの視点を紹介したい。
コーヒーの味わいに影響を与えるのは6つの要素
コーヒーの味わいに影響与える要素を以下の6つに分けて説明している。
①生産国
②品種
③生産処理
④焙煎
⑤粒度
⑥抽出
 
最初の3つは自分でコントロールできるものではない(選択するもの)、後の3つは自分でコントロールして自分好みに調整できるものである。
これらの要素がコーヒーの味を決めるすべてではないだろうが、全体の8割から9割を占める内容を、川上から川下の順番で整理してくれており、こういった必要十分な要素分解は理解の助けになる。
この本では、以後のこの流れに沿って、それぞれについて詳しく解説されている。
 
コーヒーは結局「苦いか・酸っぱいか」
これは著者がそのお客様に言われた言葉で、当時は「そんな乱暴な分類があるか」と思ったらしいが、時間が経つにつれて「その考え方も一理あるかな」と思ってきたそうだ。
確かにコーヒーの味わいというのは、専門家に言わせれば複雑なのだろうけど、私のような素人にはこのくらい単純に分類してもらうと非常に助かる。
その業界にいる人にとっては当たり前のことでも、ちょっと畑違いの人や素人にとっては、こういった単純に要素分解してくれることはありがたいことがあるが、これはその典型だろう。
大きく2つに分けることができるとか、たくさんの製品があるが代表的なのはこの3つとか、そんな感じで説明してもらえると全体像をつかむことができ、そこから深く勉強するきっかけになるのだ。
この本では、この苦味と酸味という区分と、もう1つ濃度の高い・低いという区分をあわせてマトリクスを示して、その後の品種や生産処理、焙煎・粒度などでもこの区分で説明している。
単純な区分だけに理解がしやすいし、また1つのモデルで各パートを説明しているので、一貫性もあってすんなり頭に入ってきた。
 
ということで、私にとってこの本は、未知のことが多いコーヒーという領域に補助線を引いてくれる存在であった。
知っている人から見ると当たり前の内容かもしれないが、よく知らない、でも知りたい人から見ると、親切でわかりやすいナビゲータであった。
会社の仕事においても、いつも自分たちの業界を知っている人たちばかりがお客さんではない。
そういった人たちに補助線を引いて挙げ、親切に、わかりやすく説明することが大事であることも、改めて気づかせてくれたいい本だったと思う。
 
ということで、今度はベランダでお湯を沸かしてドリップをしてみようと思った今日このごろでした。