日記の効用

4月1日の入社式に、社長の挨拶として、私は新入社員に1ヶ月間日記を書くように課題を出した。
社会人をスタートさせる、入社1年目の1ヶ月目、どういうことを思っていたのかを記録し、後々読み返してもらいたいと思ったので、そういった宿題をやってもらうことを考えた。
加えて、この新型コロナウイルスが感染拡大しているという、なかなか起こり得ないことが起きている時期に、どういったことが起こり、自分がどう考えたのかメモしておいてほしいとも思った。
 
というと、なかなか考えられた課題だな、と自分でも思うのだが、これは私自身がなかなかできなかった日記を書くという行為を、自分でやるために自分を追い込むためという側面もある。
私がここ数年記事や書籍を欠かさず読んでフォローしている人たちの多くが、日記の効用についてよく言及されていて、それを読むたびに自分でもやってみたいなと思っていたのだが、どうもめんどくさくて、やれずにここまできた。
そんなときに入社式があり、何を話そうか考えていたところ、この日記を書くというアイデアを思いついたのである。
 
人に言ったからには、自分もやってみようと、とりあえず1ヶ月限定でやってみた。
いつもの「努力の集中化」である。半永久的にやろうとすると尻込みしてしまうが、期間限的であればゴールも見えてやり切るのは意外と容易になる。
結果としては、この2020年4月の1ヶ月、毎日日記を書くことができた。
ということで、ここでは「日記を書く」を1ヶ月やってみた感想をまとめてみようと思う。
 
その前に、日記を書くことの効用とはなんだろうか。日記を書くのはいいことだと言及していた人たちの論をまとめるとこの2つに集約できると思う。
 
1.過去の自分からの手紙
2.未来の自分からの叱咤激励
 
1つ目は、過去の自分が何をして、どんなことを考えていたか、それを今の自分におしえてくれる手紙のようなものである。
書いている現在からすれば、未来の自分への手紙とも言えるが、これはその日記を読み返すときにこそいろいろな気づきがあるという点で、過去からの手紙という側面が強い。
それで、過去の自分からの手紙を読んだ現在の自分は、そのときからの成長(その逆もあり)を感じ、そして変わっていない点を感じるのである。
おそらくこの変わっていない点を感じるということが大事で、そこにこそ自分の本質的なものに気づけるのではないだろうか。
ただ、今回はまだ1ヶ月。残念ながら、1ヶ月前の私の手紙からは、何か本質的な気づくような経験はできていない。
 
2つ目は、自分が立てた目標やこうなりたいというビジョンに照らし合わせて、自分がそこに近づけたか確認するためのツールというか、時間を取るという行為としての日記である。
たしかに、今年の目標や、5年・10年の長期的なビジョンを策定して、今日の自分を振り返るという行為は非常に有用なものだと思う。
私自身も、今年の目標は立てたし、50歳になるまでの目標というかビジョンのようなものを書き記している。
ただ、正直なところ、それを毎日できたかと言われるとできていない。というか、ほとんどしていない。そして、これを毎日やるのは正直きつい。
GWとか年末年始の休暇とか、こういう短期レベルで目標を立てて、それを振り返るという行為はだいぶできるようになってきたが、長期的な、それも定性的な目標と今の自分を比較するということに時間を取れていないことに、改めて気づいた。
ここは、定量的な目標に落とし込む必要があるのかもしれないので、また改めて考えていたい(と言って、とりあえず先送りにしておく)。
 
ということで、正直なところ、日記の効用はまだ実感できていない。これはイイことだ!と実感できていないし、人にオススメすることもできない。
ただ、思ってたよりも、日記を書くという行為自体は苦ではなかった。パフォーマンスも実感できないが、コストもそれほどかからない、という感じなので、せっかく始めたし、当面続けてみようと思っている。
また心境の変化があったらまとめてみたい。
 
そう言えば、新入社員に日記は続けたのか、そして読み返したのか、聞いていないので、連休明けたら聞いてみようと思ったという話でした。