スマホがなかったから読書好きになれた

スマホ脳」という本を読んだ。
2021年に1番売れた本という触れ込みにも関わらず、恥ずかしながら最近まで知らなかったのだが、最近複数でこの本のことを聞いて手に取ってみた。
読み始めてから知ったのだが、作者のアンデシュ・ハンセン氏は「一流の頭脳」も書かれた方とのことで、こちらも面白かったので、これは間違いないと思い読み進めた。

 

内容としては、いわゆる進化生物学に基づいた人間の脳のしくみから、スマホSNSなど最近登場したテクノロジーが、われわれの生活にどういった影響を与えるのかを丁寧に説明している。
この手の進化生物学の話は、「サピエンス全史」や「ファスト&スロー」「利己的な遺伝子」あたりとも相通ずるものがある。
人間の脳や身体はサバンナの時代から変わっておらず、これだけ発展した現代にはマッチしていない。だからこそ、人間は合理的な判断ができないし、不合理な選択をしてしまう、というやつである。
スマホ脳」でも同じ文脈上で、人間の脳はスマホSNSに過度に反応してしまうことが、詳しく解説されている。情報の誘惑に抗えないのである。
 
さて、この本を読んでの最初の感想が、私が社会人になった時代にスマホがなくてよかった、ということ。
 
私は2000年代はじめに社会人になったのだが、就職したときの通勤の地下鉄路線が激混みで、人と人の間にまったく隙間がないくらいだった。
最初は電車に乗るで一苦労、乗っている最中もバランスを崩さないように立ってるのが精一杯だったのだが、徐々にその中でもマシなポジションを得るコツをつかんでいった。そうなると、今度はそこでどうやって暇を潰そうか考えたのだが、いろいろ試した結果、本を読むのがいいとなり、そこから読書を習慣化することができるようになった。
 
このとき、もしスマホがあったなら。
今と同じようなアプリがあったとすれば、まず間違いなくTwitterを見ていると思う。Twitterを確認した後でも、いくらでも時間をつぶすことができるアプリがある。
当時の携帯は、いわゆるガラケーで、iモードでインターネットには接続できていたが、コンテンツや通信速度を考えると、電車の中で暇を潰すにはまだまだ物足りないもので、せいぜい野球の途中の経過を確認するくらいだった。
もしガラケーではなくスマホだったら、読書習慣はできないまま今日に至っていたであろうし、そう思うとちょっとゾッとする。
 
現在、私の読書量はピーク時の半分以下。その原因の大きなところはやはりスマホにあるのかもしれない。
このブログを書きながらも、何度かスマホを触ってしまう自分がいることに気づく。
そのくらい、誘惑の多いのスマホとどうつきあっていくか、ちょっと真剣に考えたほうがいいかもしれないと、この本を読んで感じた次第である。
 
ということで、スマホがあったら、本を読めない人間になっていただろう、という話でした。