格安ランドセルはキャズムを超えるのか

ちょっと前のことだが、ワークマンがランドセルを開発して発売するというニュースが出ていた。
 
たしか、1~2年前にモンベルからもランドセルが発売されたが、今回のワークマンはさらにそれより安い価格帯の商品とのこと。
一般的なランドセルの購入金額が50,000円超なのに対して、モンベルのものが約15,000円、ワークマンが7,800円(税込)。
 
従来の革のランドセルは価格が高いこともあり、それに対抗すべく各社が格安のランドセルを出しているが、こういったランドセルはキャズムを超えて普及するのだろうか。
 
私の意見としては、正直難しいと思っている。
個人的にはこういったランドセルはいいと思う。安いということもさることながら、軽いというのが、とくに小さな低学年の子どもたちにはいいと思う。
しかしながら、普及するかどうかと問われると難しいと答えざるを得ない。
 
ここではその理由を、1年生になるときのニーズと、その後の買い替えニーズと分けて考えてみたいと思う。
 
まず、1年生になるとき。
今や小学生になるときのランドセル購入と言えば一大行事。祖父母も交えてどれにしようと悩むこと自体がエンタメになっているフシがある。そんな中で、格安ランドセルの出番はかなり薄いと思われる。
もちろん、どの家庭も金銭的に余裕があるわけではないので、格安ランドセルのニーズがまったくないわけではないと思うが、ここで一定以上のシェアを獲得できるとは思えない。
 
次に買い替えのニーズだが、これもちょっと期待薄か。
最初に高価なランドセルを買ってしまえば基本6年間は使うことができる。となると、わざわざ買い替える必要がない。
中には成長が早く、5,6年生で身長が伸びてランドセルが似合わなくなる子どももいるが、人数的にはわずかだろう。
 
一般的なランドセルは高くて重いので、最初は軽い格安ランドセルで過ごし、3,4年くらいから一般的な高価なランドセルに変えるという流れであれば格安ランドセルの出番もありそうだが、上述したように1年生になる段階で、子どもも親も祖父母も、高価なランドセルをほしがるので、その壁はなかなか高いだろう。
 
では、格安ランドセルがある一定以上のシェアを獲得するためには、どうすればいいか。
これは学校や教育委員会から指定してもらうしかないのではないか。
半ば強制的に、現行の一般的なランドセルではなく、格安のランドセルをほうにするよう指定してもらうしか、方法はないように思われる。
これとて、そういった学校や自治体がマジョリティになるには時間がかかりそう。
 
今うちの下の息子が幼稚園年少で、この子が小学生になるときはもちろんのこと、卒業する約10年後でも、格安ランドセルが台頭することはないと考えるが、いかがだろうか。
節目節目で、シェアが変わるかどうか、観察していきたいと思う。
 
ということで、格安ランドセルが普及するのは難しいのではないか、という話でした。