アナザージャパンで感じた違和感

「アナザージャパン」という企画があることを、とあるラジオ番組で知った。
このアナザージャパン、三菱地所と中川政七商店が協同で運営する学生インターンの企画のようで、各地域の出身の大学生がその地域の品をセレクトして、三菱地所が東京駅前で開発を進めている「TOKYO TORCH」にあるショップで販売をするというもの。
 
私が聞いたラジオでは、この企画に参加している学生が出演していて、その宣伝を行っていた。
その学生の大学名を聞いただけで優秀なんだろうなと思っていたが、ラジオでの受け答えもすばらしく、それこそ頭がいいだけでなく、行動力もある、トップ層の学生が参加していることが伺えた。
 
で、先日出張で東京に出た際に、ちょっと近くを通ったので、このアナザージャパンのショップを覗いてみた。
すると、ラジオにも出演していた学生がいて、簡単な接客をしてくれた。その話し方を見てもさすがだなと思わせる感じで、三菱地所と中川政七商店がインターンを企画するとこういった学生が集まってくるのか、とちょっとうらやましく思えたりした。
 
しかし、その会話の中で、ちょっと気になったセリフがあった。
その学生が、「私たちが仕入れから販売、プロモーションまで一貫して担い、経営をさせてもらっています」と。
正確にこういったわけではないが、ニュアンスとしてはこんな感じだった。
 
ピュアな学生に対して、こんなことを言うのは野暮だとはわかっているが、経営者のおじさんからすると、その内容にちょっとひっかかってしまったのである。
たしかにこの学生たちは、(大人たちがどれくらい関わっているかはわからないが)自分たちでコンセプトを決めて、そのコンセプトにあった地域の品物をセレクトし、交渉をして、ショップに並べて売るという、なかなかできない経験をしていると思う。
コンセプトをつくる地頭の良さもあるし、自分たちでいいものを探す行動力やコミュニケーション力もあって、非常に優秀な学生が集まっていると思う。
 
ただ、東京駅前の一等地の地代と、自分たちの人件費を考慮に入れず、それで経営を学んでいると言われるとやはり違和感しかないのである。これらの固定費を賄えるだけの粗利が稼げるはずがなく、実際にこの環境で商売をしたらとてもではないが続かないだろう、と。
 
繰り返しになるが、野暮なツッコミであることは重々承知である。
ただ、せっかくなので、そんな固定費の存在も大人たちがおしえてあげたら、もっと実のあるインターンになるのではないかと思った次第である。
 
ということで、野暮を承知で違和感を言語化してみた、という話でした。