審査員の採点問題~M-1グランプリ2023

先日、M-1グランプリ2023が放送された。
最近、必ずオンタイムでテレビの前で見る番組はこれくらいで、今年も楽しみにしていた。
クリスマスイヴと重なったこともあって、家族で外食してきたのだが、早めに出かけたので、1組目が始まる前には戻ることができた。
 
今年の内容自体は、ここ数年に比べるとちょっとレベルが低かったかなという印象だったが、最後令和ロマンが制して、ニュースターが誕生したこともあって、終わり良ければ全て良しという感じだったか。
 
さて、毎年のことだが、私は審査員の得点のつけ方が気になっている。
審査員の好みが分かれるのはいいのだが、ある審査員の得点が他の審査員以上に影響を与えることがあってはいけないと思っている。
本当はすべての出演者のパフォーマンスが終わった後で順位をつけて、その合計が少なかったほうから3組がファイナルに進出するという方式が正しいということなる。
ただ、番組の演出上、それでは盛り上がらないので、1回1回得点をつけて見せる形式となっており、これが審査員を悩まさせている。
 
今回の審査員で、このことを理解して、かつきれいに得点を振り分けたのが、サンドウィッチマン富澤。
ヤーレンズに97点をつけて、そこから89点のくらげまで1点刻みで得点をつけている。これはかなり意識してやったものと思われる。
 
一方で、山田邦子は今年もこのあたりを考えていないと思われる採点内容。
さや香にトップの98点をつけたのはいいが、その次はカベポスターの94点。1位と2位に4点差をつけている。結果的には、この4点差がファイナル3組に影響はしていないが、このつけ方は問題だったかと思う。
 
また、ナイツ塙は、直前のやらせドッキリが影響したのか、かなり保守的な採点。
トップと最下位に4点差がしかなく、これはこれでよろしくない。自身の採点が全体に影響しないように得点をつけている印象を受けた。
 
で、今回もっとも苦労していたと思われるのが松本人志
いつもは、きちんと1点差ずつで採点をしている(しようとしている)のだが、今回は1組目の令和ロマンに90点をつけたことでその後の採点が苦しくなっているように見受けられた。
本人も語っているように、その後の3組目のさや香よりも令和ロマンのほうが上だと思ったので、さや香にはその下の89点をつけたとのことだったが、1組目に渋めの点数を入れてしまったがために、その後低く抑えることになってしまったようで、加えて80点台を連発すると、盛り上がっていないように見えてしまうという演出上の問題もあり、苦労しながら得点をつけていたと推察される。
おそらく、これは今年のキングオブコントで、1組目に95点を入れてしまったことで、その後の採点に苦労したことから、1組目は90点でいくと決めていたのではないかと思うが、点数を抑えてしまったことで、逆の苦労をしたように感じた。
 
事程左様に、採点をする審査員は、かなり準備というかシミュレーションをして臨まないと、本番で苦労するなと思う。
1組目はだいたいこのくらいの点数(例えば90点)でいくと決めておいて、期待を上回れば、それに1点か2点くらい加算するくらいで入っていく。さらに2組目で1組目とどのくらい点差をつけるか考える必要がある。3組目まででうまく点数を配分できれば、あとはパズルのようにその間に組み入れていけばいいと思われるが、最初の3組がうまくいかないと後から苦労すると思われる。そんなことを感じた今回のM-1グランプリ(の採点)だった。
 
ということで、お笑い賞レースの採点は難しいと思った、という話でした。