R-1ぐらんぷりに見る、審査員の点数問題

昨日、R-1ぐらんぷり2022が開催された。
この番組、昔はよく見ていたのだが、いつごろからか見なくなった。
なんで見なくなったか考えてみると、賞レースとして見ると、異種格闘技過ぎて同じ土俵で評価するには無理があると感じたからか。
あと、バカリズムやマツモトグラブあたりが評価されないので、離れてしまったというのもある。バカリズムは4回決勝に進出しているが、どこかで優勝していれば、R-1はもっと格の高い大会になっていたと思っている。
 
さて、今回のR-1、さほど注目はしておらず、番組自体も途中から見ただけだが、こういった賞レース、いつも審査員の点数のつけ方が気になってしまうので、去年のキングオブコントM-1に続き、今回もその視点で、審査員の点数問題についてまとめてみたいと思う。
 
まず、今回のR-1のシステムだが、他の賞レース同様、予選は審査員が100点満点で点数をつけて、その合計点で順位がつけられる。その中から上位2名が決勝に進出、その2名がもう1回ネタをやって、審査員はどちらかいいほうの名前を挙げて、多いほうが優勝となる。
 
さて、こういった得点をつける審査方法のとき、審査員は1点刻みで点数をつけ、できるだけ同じ点数にならないようにすべきであると考える。なぜなら、点数の差が大きいと、その審査員の影響が大きくなってしまうからである。
 
例えば、参加者のAとBの2人がいて、審査員として甲と乙と丙が得点をつけるとする。
Aに対して甲90点、乙92点、丙88点とつけて、Bに対して甲89点、乙91点、丙95点とつけたする。
するとAの合計点は270点、Bの合計点275点となり、Bが上位にくる。しかし、甲と乙の2名の審査員はAのほうが高い得点であるので、本来であればAが上位にくるべきである。しかしながら、丙がBに対して高得点をつけたため、Bが上位になってしまっている。
 
こういった、特定の審査員の影響を排除するためには、審査員はできるだけ1点刻みで、しかも同じ点数にならないように点数をつけることをが望ましい。
本来であれば、予選のすべてのネタが終わった後に、審査員がそれぞれ順位をつける方式のほうが公平なのだが、番組の演出上得点をつけたほうが盛り上がるので、やむなしか。
 
この観点で審査員の評価を見たとき、キッチリと1点刻みでダブリなく点数をつけていたのはバカリズムだけだった。
彼は間違いなく、審査員の仕事の意味とその影響力を理解しており、必要以上に差をつけず、しかしながらきちんと差をつけるという審査をしていた。さすがである。
 
他の審査員を見ると、ハリウッドザコシショウは最高得点と最低得点の差が5点しかなく、ダブリも多かった。2組同じ点数をつけたケースが2回、3組同じ点数つけたケースもあった。5人の審査員の中で一番ダブリが多く、審査員の仕事をしたとは言い難いのではないだろうか。
マジカルラブリー野田も、ダブリが多く2組同じ点数をつけたケースが2つあった。
小籔千豊は、2組同じ点数をつけたケースが1つあり、3組同じ点数つけたケースもあったのもいただけないが、それ以上にZAZYに98点、吉住に97点つけて、その次が94点と3点差空いたのが良くない。とくに今回は予選が接戦だったので、小籔の得点が他の審査員に比べて大きく影響する結果になってしまっている。
バカリズムは前述のとおり、完璧な得点の並べ方。かなり意識してつけていたと思われる。
陣内は無難な印象だが、2組ダブったのが2つあった。しかも、最高点である93点をつけたのが2人(Kento furuyaと金の国渡部おにぎり)で、ここできちんと差をつけていたら、順位が変わった可能性もある。
 
ちなみにすべての出場者の点数から、審査員ごとに順位をつけなおして集計した結果、上位2名はお見送り芸人しんいちと金の国渡部おにぎりとなった。
ZAZYは3名が1位に推すも、バカリズムが6位、陣内が7位をつけたので、その分点数が下がっている。
審査員の点数のつけ方が順位にかなり影響した大会だったと言ってもいいだろう。
 
こんな感じで、今回のR-1はとくに上位の得点差が少なかったことから、審査員のちょっとした点数のつけ方で明暗が分かれた。
審査する人はこのあたりの考え方はきちんと理解した上で、特定の審査員の得点が大きく影響するがないよう考えてほしいなと思った次第である。
 
ということで、今回のR-1は審査員の点数のつけ方が順位に大きく影響した大会だった、という話でした。