問いをきちんと立てないと、何と何を比較すべきかわからなくなる

先日、とある少し年配の業界経験者の方から、うちの会社に就職したいというオファーがあった。
若返りを図りたいうちの会社としては、年齢がネックでバチッとはまる採用にはなりそうではなかったのだが、一方でこれまでの経験を活かしてもらうことは考えられるし、何よりポストに穴が空いている状況でもあったので、玉突き人事をすることで、この解消を図ることができるかもしれないと思い、事業部長に採用を検討をするように指示を出した。
 
すると、その事業部長からは、年齢も高いし、これまでの経験とうちでの職務内容が微妙に違うので、採用を見送りたいという回答があった。
この回答を聞いて、どうも私の指示が悪かったらしいと思ったので、今一度整理をして指示をし直したのだが、どこの理解が違ったのか、ここで整理おきたいたいと思う。
 
一般的に採用を行うときは、募集するポジションに対して、候補者が適任かどうかを判断する。
おそらく今回この事業部長は、この感覚で採用したいと思うかどうかの判断をしたと思われる。
 
しかしながら、今回私の思惑は違っていた。
上述したとおり、その部門では管理職のポストに穴が空いていて、その上席が兼任をしており、今回採用によってこの兼任が解消できる可能性があるので、それを検討してほしかった。
あるポジションにおいて、適任かどうかではなく、この人を採用することで組織全体の生産性が上がるかどうかを考えてほしかったわけである。
 
ここで比較すべき選択肢は、次の2つ(ないしは3つ)になる。
1つめは、採用をせずに、現在の兼任の状況が続くことによる全体の状態。
2つめは、この人が入ることによって(そのポジションにおける期待値が60点かもしれないが)兼任が解消された状態。
3つめは、今回の人とは別の採用を実施することによって、玉突き人事などを行うことで、兼任が解消された状態。
 
それぞれのPros/Consやリスクを出して、最終的にどれがいいかを判断すればいい。
1つめは、現行と変わらないのでリスクはなさそうに見えるが、兼任という正常ではない状態が続くことによるリスクが継続してしまう。ここを適切に評価しなければならない。
2つめは、新たに年配の方を採用するリスクがあるが、それと兼任を解消できるというメリットを天秤にかけて評価する必要がある。今回の場合は、この年配の方が入社すれば、その上司が年下になるので、それによるリスクも評価する必要がある。
3つめは、採用が思い通りいかないリスクがまずある。また、採用や育成が想定通りうまくできたとしても、兼任解消までに時間がかかるデメリットがある。
 
以上のことを、事業部長と私とで改めて協議して、結果的に3つめを選択することとした。
今回の社外の方からのオファーには応えることができなかったのだが、それがきっかけで管理職の穴があって兼任が続いているという歪な状態を解消するための目処がたったのはよかったと思っている。
 
ということで、問いの設定を適切にしないと、答えも適切なものは出てこない、という話でした。