熱中症0はいいことなのか?

先日のこのブログの記事でも書いたが、今年の夏の暑さはここ数年の中でもちょっと異常であると感じている。
その証拠に、うちの会社の関係先でも、去年は熱中症0であったが、今年は8月上旬現在ですでに数件発生している。
熱中症対策が周知されているこの現代において、それでも熱中症が発生してしまうということは、やはり暑さも尋常ではないのだろう。
 
さて、そんな中、先日うちの会社の取引先の工場で熱中症が発生したということで、問題になっていた。
いくつか原因はあるのだが、そのうちの1つが塩分補給の不足。水分はそれなりに補給していたが、塩分が足りなかったのではないかということだった。
そこで対策の1つとして挙がっているのが、スポーツドリングの常飲。
夏場の工場はとにかく暑い。その中で身体も動かしながらの作業だと、汗からどんどん塩分やミネラルが抜けて行ってしまうということで、それを補うためには塩分補給、それも塩分の量がわかるスポーツドリンを飲むべし、というものである。
 
これは一見正しいことのように思えるのだが、よくよく考えるとちょっとこわいことでもある。
昨日のこのブログでも書いたが、500mlのスポーツドリングに含まれる糖分はだいたい20~30g。成人の1日の目安の糖分摂取量が、体重の半分のg数(60kgの体重であれば、糖分摂取量は30g)と言われているので、少々身体を動かす仕事であっても、スポーツドリンクを500ml換算で2,3本飲んでしまえば、すぐに糖分過多になってしまう。
そう考えると、熱中症予防のためにスポーツドリンクを飲むことを推奨するということは、肥満や糖尿などの他の病気になってでも熱中症にならなければいい、ということになりかねない。
となると、他の方法(塩を直接舐めるとか、食事から塩分を接種するとか)を考えないといけないわけだが、これらもどの程度摂取すればいいかの判断は難しい。
 
そうなると、である。
たしかに熱中症は予防すべきだし、ならないに越したことはないが、過度に熱中症をおそれるがあまり、スポーツドリンクをがぶ飲みしたりすると、他のところで健康に影響が出かねない。
それであれば、暑いところでの作業はできるだけ短くして休憩を挟むなど、暑さをできるだけ避ける方向での対策を考えないといけない。
さらには、誤解をおそれずに言えば、熱中症になってしまうことをある程度は許容することも考えないといけないのではないかとも思ったりする。熱中症を避けるがあまりに、身体にあまり良くないものを過剰に摂取するよりかは、多少熱中症リスクがあってもそれを許容し、調子が悪くなったらすぐに休んだり、早めの治療を受けるなどの対応をすることで、重度の熱中症にならないことを注力したほうがいいのではないかと思ったりしている。
 
世の中では、軽度のものであっても熱中症は出してはならないという風潮だが、この認識が今後どう変わっていくのか、あるいは変わらないのか、ちょっと気にして見ておきたいと思う。
 
ということで、熱中症を避けるがあまり、他のリスクが高くなっているのではないか、という話でした。