麻疹から考えるワクチンの効力

5月から新型コロナの感染症状の位置づけも変わり、いよいよコロナ明けという雰囲気になってきているが、一方でちょっと前に東京都で麻疹の感染者が確認されたことがニュースとなった。
 
麻疹に感染すると、10日程度の潜伏期間を経て、高熱や湿疹などの症状が出て、合併症による死亡のリスクもあるとのこと。
また、感染ルートは空気感染と言われており、インフルエンザや新型コロナに比べても、さらに感染力が高いウイルスとして知られている。
 
せっかくコロナが一段落かと思っていたところに、今度は麻疹のニュース。
こんな感染力の高いウイルスが流行したら大変だなと思って、少し調べていると過去にも流行はぽつぽつとあったらしい。
直近で言えば、2018年や2020年に感染は確認されて流行したようなのだが、正直覚えていない。少なくとも新型コロナのような大々的なニュースにはなっていない。
ということは、感染は確認されたが、それほど(新型コロナほどには)大きな感染にはなっていないということであろう。
 
では、なぜ新型コロナより感染力の高い麻疹が、小規模な感染で済んだのか。
これは少し考えたら答えがわかることだが、ワクチンのおかげである。
 
上述したように、麻疹は空気感染するウイルス。
飛沫ではなく、空気でも感染するということは、少ないウイルスでもいったん体内に入ると増殖してしまうものだと理解している。
 
そんな、麻疹の基本再生産数は12~18。新型コロナの変異株でデルタ型の基本再生産数が5程度と言われていたので、それよりもかなり高い感染力がある。
しかし、それでもコロナほどまで流行していないということは、それだけ免疫を持っている人が多い(≒ワクチン接種をしている人が多い)ということだろう。
 
麻疹のワクチン接種は年度によって方針が異なっているため、世代によって接種率にバラつきがあるようだが、それでも抗体保有率(感染もしくはワクチンで抗体を獲得している人の割合)は概ね95%は超えている模様。
基本再生産数が12であれば91.7%で、これが18であれば94.4%で集団免疫獲得となるので、免疫獲得者が少ない地域で感染が流行すると大変なことになる可能性があるが、この数字を見る限りそこまで心配しなくてもいいのかもしれない。
 
そう考えると、新型コロナでもやはりワクチンは有効なのだろう。麻疹と違って、ワクチンの効力が短いという欠点はあるが、ある程度の期間ごとに接種することで大きな感染は防ぐことができるはずなのは間違いないだろう。
足元ではコロナは第9波が進行中のようだが、改めてワクチンってすごいんだなと思った次第である。
 
ということで、第5類になってもワクチンは引き続き有効そうだ、という話でした。