新型コロナの感染はいつ収束するのか

新型コロナのワクチン接種率が、最終的には88%になるというニュースが出ていた。
記事にはきちんと明記されていないが、希望者がすべて接種し終わったタイミングでの接種率ということだろうと思われるので、今年末での接種率と読み替えても問題はないと思う。
 
この接種率だが、正直なところ、ここまで伸びるのかについては少々懐疑的である。
12歳以上で88%まで行けば、全人口比でも80%近くになる。アメリカは60%で頭打ち、イギリスあたりも70%程度と言われている中で、日本がここまで進むというのはにわかには信じがたい(ワクチン嫌いなお国柄というのはイメージだけなのかもしれないが)。
 
仮にこの88%が正しいとして、従来株であれば十分に集団免疫獲得の水準に達することができた。アルファ株まででも、集団免疫獲得まで行けた可能性が高い。
ただ、現在蔓延しているデルタ株では基本再生産数が5から10程度と言われているので、5程度であればかなり集団免疫に近づくのだが、10程度であれば集団免疫には人口の9割に達する必要があり、まだまだ足りない。
 
では、いったんワクチン一巡して、12歳以上の88%が接種したとして、その後新型コロナの感染が収束するまでどのくらいかかるのだろうか。いくつかの制約のもと、簡単なシミュレーションをしてみた。
 
ワクチンの効果は長期的に継続する、今回ワクチンを接種しなかった人は今後も接種しない、12歳未満も今後接種しないという前提のもとに、計算した結果が以下のとおりである。
 
まず日本の人口を1億2000万人、12歳未満を1割の1200万人とする。すると12歳以上は1億800万人となり、その88%である約9500万人が接種済みとなる。逆に未接種者は12歳未満含めて約2500万人。
人口の9割の免疫獲得で集団免疫達成になるという仮定を置くと、人口の9割は1億800万人。ワクチン接種済みは9500万人なので、その差分は1300万人となる。未接種者は今後ワクチンを打たないという前提なので、未接種者2500万人のうち、この1300万人が感染すれば集団免疫達成ということになる。
 
ここで、感染者数はどのくらいになるのかということだが、2021年の1-8月の陽性者数が約130万人で、年換算すると約200万人となる。この数字をそのまま用いて、1年間に200万人が感染するとする。
集団免疫獲得までにあと1300万人の感染が必要になるので、1300÷200=6.5で、感染が収束するまでにざっと6年半かかる。という計算になる。
 
この計算自体はかなり粗々であるのは承知している。
陽性者数から感染者数を年間200万人として計算しているが、実際の感染者数はもっと多いだろう。ワクチンが一巡した後にやはり接種するという人も一定数はいるだろうし、そう遅くない時期に12歳未満の接種も認可されると思われる。そうなると、この6年半という年数はぐっと縮まるはずである。
しかし、一方でワクチンの効果にも限りがあり、時間とともに効果が低減する可能性が高そうである。さらなる変異株の出現のリスクもある。そうなると長期化する方向に振れる。
このように両方向へ振れる要素が多分にあるのだが、一つ言えるのは短期的な収束は難しいだろうということ。少なくとも今年のうちに収束することはないし、来年いっぱいという見通しも甘いのかもしれない。
 
経営者としては、そういう前提のもとで、事業の方向性を考えないといけないなと感じた次第である。
 
ということで、接種率が高くてもまだまだ先は長い、という話でした。