相互忠告、言うは易く行うは難し

うちの会社では工場を運営しているのだが、「安全第一」は基本中の基本。
安全のためのルールはけっこうたくさんあり、事故が起こらないよう、細心の注意を払って活動している。
 
そんな中、最近まわりの会社含めて言われているのが、相互忠告。
ルールが守れていないことがあったら、相互に注意し合いましょうというもの。
ベテラン・若手、管理職と部下、こういった枠組み関係なく、お互い注意しあえる雰囲気づくりが大事であるという考え方である。
 
これ自体は非常に大事な考え方ではあると思うが、言うは易く行うは難しの典型でもあると思う。
若手がベテラン社員に何か注意や忠告するのはやはり心理的な壁がある、ということを想像しやすいが、逆のパターンでもけっこう言いにくい。細かいことを言って嫌われたくないという心理がどうしても働いてしまうため、ベテラン社員や管理職であっても、忠告すべきかどうか迷うことが多いのではないかと思う。
 
では、この相互忠告、なぜ難しいのか。もう少し解像度高く考えてみたい。
私は以下の2つが大きな原因かと思っている。
 
1つは、ルールが曖昧であったり、基準が不明確なことがあると、注意しにくいということ。
服装を整えましょうといわれたとき、どの程度であれば整っていて、どれくらい着崩していると整っていないのか、個人個人で感覚が違うので判断が難しい。
服装に乱れがあるからと注意されたら、注意されたほうはムッとするかもしれないし、注意するほうもムッとされる可能性があるので言いにくい。
これに対する対策は、ルールや基準を具体的にすること。誰が見ても可・不可の判断ができるようにすることである。
例えば、作業着のチャックは胸ポケットより高い位置にする、と決めてしまえば、そのラインより低かったら不可とわかる。これだと幾分注意はしやすくなる。
 
ただ、このルールや基準を具体的にするだけでは足りない。
それが2つめの原因だが、普段から相互忠告に慣れていないと、いざやろうと思ってもできない。
ルールが明確になったからといって、さあ相互忠告してくださいと言われても、ほとんどはやらないだろう。
それは誰もやっていないから。まわりの誰もやっていないのに、一人だけ注意をしまくっていたら浮いてしまうのであれば、誰もやらない。
 
そこで考えた対策が、簡単なところで、まずは管理職がお手本となってやってみるということ。
とりあえず考えたのが、上述した作業着に着方について、ルールどおりにできていなかったら、管理職どうしが注意しようということにしてみた。
作業着の前のチャックの位置であったり、手首の部分のボタンの締め忘れだったり、こういった簡単だけど、できていないことがわかりやすいことを注意するということにしてみた。
 
これによって相互忠告が定着するかはわからないが、相互忠告という考え方自体は大事なことかと思うので、経営者である私が率先して取り組んでみたいと思う。
 
ということで、注意するほうも、されるほうも、ルールが明確でないと注意は難しい、という話でした。