ワクチンが注射ではなく飲み薬だったら

コロナ禍もそろそろ満3年を迎えようとしている。この間、重症化率はかなり下がってきているが、相変わらずの感染力で、完全に元の生活に戻るまでは、まだまだ時間がかかりそうである。
 
ワクチンはゲームチェンジャーとして期待され、それ相応の効果は発揮されているものの、コロナ禍を終わらせるだけの切り札には今のところなり得ていない。
とはいえ、ワクチンの感染予防効果や発症予防効果は半年程度は維持し、重症化予防効果はある程度長期間維持されるとのことなので、確率的に考えると、私は接種しておいたほうがいいと考えており、実際4回目まで接種が終わっている。
 
一方で、反ワクチンの思想を持っている人も一定数いる。
私はワクチンを接種したほうがいいと考えるが、どうしても嫌ということであれば、接種しない自由もあると考える。
公衆衛生的には、できるだけ多くの人が接種したほうが、感染者数を抑えられるのは間違いないが、どこまで行っても平行線であれば、それぞれが判断して行動するしかない。
 
ただ、反ワクチンの人はなぜそこまでして固執するのだろうか、と考えることはたまにある。
私の仮説は、多くの反ワクチンの人は、最初注射がちょっと嫌だなというところからはじまっているのではないかというものである。
 
注射が嫌だ→注射を回避するため(ワクチンの負の側面)の情報が入る→それを信じれば注射を打たなくて済む→ワクチンの負の側面の情報を入れる→…、以下繰り返す、という感じ。
注射をしたくないという、絶対ではないが、できれば避けたいというちょっとした気持ちがトリガーになって、こういった思考のサイクルになっているのではないかと考えている。
そのうちに、ワクチンの負の側面の情報が雪だるま式に多くなるのと、後に引けないのとで、反ワクチン派になってしまうという流れかと思っている。
 
だから、mRNAワクチンが信じられないと言っていた反ワクチン派の人は、従来型の不活化ワクチンの接種ができる状況になっても、接種していない人が多いのではないだろうか。
 
私も正直なところ、注射は嫌いだし、回避できるのであればそうしたいという気持ちはあった。
mRNAワクチンが開発されたときも最初は懐疑的で、注射も嫌なので、ワクチンのマイナス面の情報を集めようとしていたが、冷静に情報を集めて、リスクと効果を天秤にかけると接種したほうがいいという結論になった。
しかし、最初のところでつまづくと、似たような情報ばかり集めてしまい、また後から主張を変えにくくなるという側面もあり、ズルズルとそちらに引っ張られることになった可能性もあったかと思う。
そのくらい、ワクチン接種賛成派と反ワクチン派は紙一重なんだろうなと思ったりするわけである。
 
もしワクチンが注射ではなく、(原理的に可能なのかどうかわからないが)飲み薬で開発されたら、おそらくここまで反ワクチンの人たちは多くないはずである。
ワクチンがほんとに嫌ならば、注射あろうが、飲み薬であろうが、関係なく反対するはずだが、おそらくそうはならないと考える。
 
ということで、事程左様に多くの人は注射が嫌いで、できれば回避したいという最初の気持ちから、反ワクチンへと傾斜していく人が多いのではないか、という話でした。