改めましてこんにちは

日本語の誤用シリーズ。
最近よく聞くのが、「改めましてこんにちは(こんばんは)」。
 
会議や会合の最初に主催者が挨拶することがあるが、そのときにこの「改めましてこんにちは」がよく使われる。
この「改めまして」、意味としては「再び」が適切かと思うが、会の最初の挨拶なのにどこが「再び」なのだろうかといつも不思議になる。
 
不思議になると書いたが、挨拶している人の気持ちはだいたい察しはついていて、会が始まる前におおよそのメンバーとは挨拶をしているので、会のはじまりの挨拶(紛らわしい)で「こんにちは」というときは2度目ということで、「改めまして」と言っているのであろう。
ただ、会の前に挨拶していない人からすれば、今日はじめての「こんにちは」で、「再びこんにちは」不自然であるし、そもそも会の始まりの挨拶なのだから、「改めまして」なんて言う必要はないのである。
事前に挨拶していない人からすると、そういった人たちのことが頭に入っていない印象を受けてしまうことになりかねない。
 
だいたい、この「改めまして」を使うのは、内輪の会議や会合のときが多い印象がある。オフィシャルな感じの会合では、不特定多数の人が参加していることから、挨拶をする主催者から見て事前に挨拶をしている人が限られていることもあり、あまり使われないように感じる。
 
「改めまして」を使うとしたら、会議と懇親会がセットであって、そのどちらでも挨拶をしないといけない場合、後半の懇親会の挨拶のときだろう。
大半のメンバーが会議にも懇親会にも参加するのであれば、会議の挨拶で「こんにちは」と言っているので、懇親会のほうの挨拶では「改めましてこんにちは」としても違和感はない。
 
今回の「改めまして」は社内でもけっこう使われていて、いつも気になっている。
使っているほうからすると、言葉がもつ意味を考えずに何の気なしに見様見真似で使っているだけで、悪気があるわけでもないし、このケースだと必ずしも間違っているとは言い切りにくい。
一方で、言葉が持っている意味をいちいち確認することを怠るなというメッセージも込めて、注意したほうがいいかなと思ったりもする。
でも、社外で出るようなことがなければやっぱりいいかと思ったりで、どうでもいいことでけっこう悩んでしまう自分に呆れたりもしている。
 
言葉は常に変わり続けるものなので、何が正しいとは言い切れないが、とりあえず違和感があった言葉は意味を調べるくらいはしておきたいと思った次第である。
 
ということで、誤用とはまでは言い切れないかもしれないが、毎度「改めましてこんにちは」に違和感を覚える、という話でした。