新型コロナは現代だからこそのパンデミックを引き起こした

新型コロナの第7波が日本中に襲いかかっている。新規感染者数は各地で軒並み過去最高の数値を叩き出し、不安の度合いは高まっている。
一方で、都心部だけでなく、地方においても、人々の行動制限は徹底されておらず、どこも人出は多い。
この状況を見ているとしばらくは新規感染者数は増加傾向を示すのではないかと思う。
ただ、学校が夏休みに入り、10代やそれ未満の子どもたちの感染は止まり、この世代の感染者数は7月末くらいからは下降していくのではないかと予想する。
 
さて、コロナも2年半。2022年はそろそろ収束の兆しが見え始めるのではないかと年初には期待していたが、どうもそううまくは運ばないようである。
ここまで感染力が強いと、現行ワクチンでは重症化予防効果はある程度持続するが、感染予防効果は短期的なので、定期的(6ヶ月に1度くらい)に接種することで、感染者増の期間と減の期間を繰り返すということになりそうだ(ただ、現時点では4回目の接種は対象者が限られているため、この減の期間が短くなる可能性が高い)。
 
では、なぜこんなに長引くのか。それはこのウイルスの感染力の高さが主要因であるのでは間違いないが、加えて現代の情報化が進んだ状況が長期化を引き起こしていると考える。
 
ここで思考実験をしてみたいと思う。
もし、情報手段が発達しておらず、感染の状況の詳細がわからない世の中だったらどうなっただろうか。具体的には、1~2世紀前の状況を想像してみたらいいと思う。
そのくらい前だと人の往来が激しくないから、そもそも感染が流行しなかったというツッコミが入りそうだが、ここでは人の往来はあるが情報が伝わりにくい状況を考えたみたい。
するとどうなるか。きっと瞬く間にこのウイルスは広がりを見せて、ほぼ全員に感染するだろう。その中で、症状が出ない人もいれば、比較的軽症で済む人もいれば、なかに亡くなってしまう人もいるだろう。短期間に死者数は膨大なものになり、その期間はかなり混乱するだろうが、一巡した後、生き残った人は免疫を獲得し、ウイルスはそれ以上伝播できなくなってしまうので、比較的短期間に混乱は収束する。
 
それに対して、現代は情報が氾濫し、また国単位で統制をかけようとする(しかも国ごとに対応が異なる)ので、中途半端に感染は収まったように見えるが、ウイルスは温存される。
感染が繰り返される中で、ウイルスも変異が続き、一度感染した人が再度感染するようなことも起こり、感染の波も繰り返すということになっている。
 
要するに、ここまで情報化が進み、統制がかけられる世界でなければ、とっくの昔に今回のパンデミックは収束していたということである。
これは、いわゆるノーガード戦法と同じで、一時期感染者数が増加し、死者が莫大になってもそれを許容するという考え方である。短期的には大混乱を引き起こすが、長期的に見れば感染者数も死者数も最小限に抑えられるはずである。地震津波といっしょで、短期間に大きな被害をもたらすが、その分元には早く戻る。
しかし、これは言うは易く行うは難しの典型で、現代の日本(に限らず世界各国)では許容されないだろう。
 
となると、現代の最適解は、ワクチン開発まではゼロコロナで凌ぎ、ワクチンが一巡したらノーガードで感染爆発を許容するといったものだろうが、これも各国の足並みがそろわないと意味がない。一国だけがこれをやっても、他で感染が続き、変異株が出現すると振り出しに戻ってしまうからである。
 
なんてことを考えると、コロナの短期収束は楽観的な希望に過ぎず、短くとも5年スパン、下手すると10年くらい付き合わないいけないのかもしれないと思ってしまう。
少なくとも、そうなる可能性は想定しながら、会社経営やプライベートの計画を考えていきたいと思った次第である。
 
ということで、情報化が進んだ現代だからこそ、コロナの問題はこれからも長引くだろう、という話でした。