連絡先を書かせるのはもうやめてはどうか

コロナもだいぶ落ち着いてきており、いろいろなイベントやエンターテイメントも通常通りに戻ろうとしている。
そのことはいいことなのだけど、いまだにそれ意味あるの?と首をかしげる感染対策が散見される。
その筆頭が、連絡先を書かせる、というもの。
 
この対策、当初から意味がないと思っているのだが、いまだによく出くわす。
先日も社会人野球の試合を観戦に行ったときに連絡先を書くよう言われたし、美術館に入るときも求められた。
 
意味がないと思う理由は2つ。
 
1つは、そこで感染する確率はかなり低いと思うから。
野球観戦に限らず、スポーツのイベントにおいてクラスタが発生したというニュースを聞いたことがない。まして、屋外でのイベントであれば、よほどのこと(熱や咳が出ている人がいるとか)がない限り、感染のリスクが低いのは明らかになっている。
美術館にしてもそうである。みんなマスクをして、基本会話もしない。そんな場所で感染は起こり得ないのである。
そんな感染が起こる可能性が限りなく低い場所で、場所やイベントでわざわざ連絡先を聞いてどうするのか。素朴に疑問である。
 
2つめは、仮にその会場に来ていた人の感染が確認されたとして、連絡先の情報の使いようがないから。
もちろん、その場に感染者がいた、ということはあり得るだろう。ただ、そうだということが後になってわかって、この連絡先の情報をどうするのだろうか。
濃厚接触していたかどうかも確認できないので、ピンポイントでの連絡のしようがない。それとも、イチイチ全員に連絡するのだろうか。
ちょっと想像してみればわかるが、その情報は使いようがないのである。
 
そんな使いようのない情報なのに、もっていることで2つのリスクを負わなければならない。
1つは、万が一、その場で感染やクラスタが発生したとして、逆に連絡をしなければ、なんでしなかったのだと文句を言われるリスク。上述のとおり、感染が起こったとして、どこまで連絡をするのかという判断は非常に難しい。だったらそんな情報は持っておかないほうがいいのである。
 
もう1つは、個人情報が漏れるリスク。
とあるイベントでは、人のいない受付にリストだけが置いてあって、そこに名前と電話番号を書くように指示がされていた。そんなずさんな管理をしているところに、自分の電話番号などの情報は提供したくない。
これまでそういった情報漏洩がなかったのが不思議なくらいで、今後も全国各地でこのやっている感を出すためだけの対策が残ると、どこかで情報が流出するなんてことが起こるのではないだろうか。
 
感染対策は意味があるものに集中してやらないと、長期戦になればなるほど疲弊していく。
コロナもようやく出口が見え始めたが、今のうちに意味のある対策とそうでないものを峻別しておかないと、また次に同じようなパンデミックが来たときに同じことを繰り返すのではないだろうか、と危惧する今日このごろである。
 
ということで、連絡先を聞くといった意味のない対策はすぐに止めるべきである、という話でした。