コロナがもっと強毒性のウイルスだったら

コロナが全世界を覆う大きな問題として認識されはじめてから、もう少しで2年半になる。
私自身、最初に問題になり始めたときは、致死率もそれほど高くなく、インフルエンザと同じようなものだろうとたかを括っていた。いわゆる、コロナは風邪という思考だった。
それが2020年の3月あたりから、これは様子がおかしいぞと思うようになり、書籍やウェブの記事を読み漁って勉強してきた。
そこからはある程度その後どうなるかを見通すことができ、これは短期間に終わるようなものではないと認識するようになって、会社の経営判断や個人の行動に活かすことができるようになってきた。
これから先についてはまだわからないことも多いが、今年いっぱいくらいは影響を受けながら徐々に元に戻っていけばいけばいいなと思っている。
 
さて、コロナ禍は当初多くの人が思っていたより長期化しているが、これがもしもっと強毒性のウイルスだったらどうなっていただろうか、と空想することがよくある。
重症化率や致死率がもっと高かったら、まず間違いなく初動の段階で、各国が厳しい水際対策をしていただろう。
詳しく勉強したわけではないので詳細はわからないが、SARSやMERSのときはそういう対策を行ったおかげで、少なくとも日本国内では大きな流行にはならなかったと認識している。
今回の新型コロナでそういった対策をしなかった理由は、この毒性の強さが絶妙だったために、初動が遅れ、それが尾を引いているということかと思う。
 
では、この新型コロナというウイルスでも、SARSやMERSといったより強毒なウイルスを同じような対応していたらどうなったか。各国が足並みを揃えて同様の厳しい対策を行っていたら、おそらくコロナ禍は半年も経たないうちに終わっていたと思われる。
そう考えると、毒性が弱くても毒性の強いウイルスと同様に初期に厳しい対策を取ることが最適解になるかと思うが、これは言うは易し行うは難しとなるだろう。
もし、今後同じような毒性のウイルスが流行したとして、また同じように意見が分かれて、同じような(各国バラバラの)対策を取ることになると思う。
 
そう思う理由は2つ。
1つは、2年半経った現時点でも、まだコロナは風邪という意見や、逆にコロナはこわいという意見が真っ二つに分かれており、融和するどころかさらに意見の分断が大きいから。
そろそろウイルスに対する見解が統合されてきてもよさそうだが、実際はその逆である。日本国内を見ただけでも、また同じことがあったら、同じように意見が分かれて、同じ道を辿るんだろうなと思ってしまう。
 
もう1つは、次に同様なことが起こった際、どのくらいの毒性だったら強い対策をすべきかがわからないと思われるから。
仮に、今回と同じくらいの毒性だったら、強い対策をすべしというコンセンサスができたとして、次に来るのはそれよりも微妙に毒性の弱いものかもしれない。そのときもおそらく最適解は初期に強い対策をすべし、ということなのだろうが、実際起きたら意見は分かれるだろう。毒性と伝播性(感染力)を考慮して、対策を決めるべきだと思うのだが、毒性がどの程度であれば強い対策をすべきかどうかまで明確なラインを引くことは難しいと思う。結果、よほど毒性の強いことが明確なウイルスではない限り、今回と同じことを繰り返すことになるんだろうなと思うわけである。
 
そのくらい、今回の新型コロナは、毒性と伝播性が絶妙なバランスで、ウイルスから見た生存戦略的には最適だったと思われる。人の意見を分断し、その間隙を縫って拡大してきた。
ここにきてコンセンサスが得られないということは、今後同様のウイルスが出てきても、同じことを繰り返すんだろうなと思った次第である。
 
ということで、最適解をわかっていても、そのとおり行動できるとは限らない、という話でした。