工場の安全管理と子どもの安全管理の相違点

先日、上の娘(6歳)と下の息子(1歳半)を連れて、とある温泉施設に行ってきた。
そこはけっこう広い浴室で、屋内だけでなく露天の風呂があったり、ちょっと歩けるような風呂もあったりと、娘だけでなく息子も楽しそうに過ごしていた。
 
そんな中、ちょっとしたアクシデントが起きた。
浅い風呂の中を歩いていた息子が足を滑らせておぼれかけたのだ。私も息子からは目を離さないようにしていたので、すぐに起こして事なきを得た。
その間、1,2秒くらいだったと思うのだが、息子としてはバタバタしていたが、まわりが気づくほどの大きな音がするわけでもなく、私が目を離してれば危なかったかもしれない。
 
私は子どもの安全を確保するために、致命的なことになりかねないリスクを事前に整理して、それが起きないように心がけている。
今回のような温浴施設であれば、浴槽内でおぼれることと、こけて頭を打つことの2つをとくに意識している。裏を返せば、その他のリスクは過度に気にしなくていいとおもている。お風呂であれば、すべってコケる可能性は高いが、ただコケるだけであれば大きな問題がないと割り切っている。
 
こんな感じで、とくに子どもが小さいうちは、遊びに行くときも大きなケガにならないように気をつけている。
 
一方で、私は工場をもつ会社を運営している。
工場というと、よく安全第一という言葉が思い浮かぶかと思うが、安全管理は経営上大事な要素であることは間違いない。
そして、工場に対する安全管理は、上述の子どもに対する安全管理と、似て非なるところがある。
それは、小さなリスクも許容してはならないということである。
上述したように、子どもの安全管理においては小さなリスクやケガはある程度許容できるし、それが子どもの成長につながることもあったりする。しかしながら、工場においてはそういう考えをしてはならないのである。
 
その理由は大きく分けて2つある。
1つは、工場での安全管理においては、小さなリスクが大きなケガにつながる可能性があるから。
例えば、工場内に段差があったとする。これが原因で転けてしまうことはほとんどなくても、毎日多くの人が通ればいつか転ける人が出てしまう可能性がある。それでも、ケガの具合が小さければまだいいが、その転けたときに重量物を持っていたら、近くに材料が置かれていてそれに当たったら、大ケガにつながる可能性があるのである。
 
もう1つの理由は、工場では多くの人が働いているから。
子どもの安全管理であれば、その管理の対象は1人ないしは、限られた少人数となる。うちの家庭の場合は2人だが、上の娘はそこそこ大きくなってきたので、下の息子に集中すればいい場面が多い。
それに対して、工場であれば数十人単位、多いところでは数百人レベルになるところもあったりする。そうなると、試行回数が格段に上がる。上述した段差の例で考えたとき、1人がその段差を通って転けてケガする可能性は限りなく低いだろうが、これが1日に10回20回あって、それが数十年に渡ると、どこかでケガにつながる可能性が高くなる。1人2人のときとは管理レベルの難しさが格段に上がる。
だからこそ、小さなリスクであっても許容してはならないのである。
 
子育てと同じく、小さなケガであればいいのではないかと思いがちであるが、工場においては上記理由から小さなリスクも許容してはならない。そんなことを子どもの面倒を見ながら考えた次第である。
 
ということで、工場の安全管理と子どもの安全管理はちょっと違う、という話でした。