順位予想が当たらないのはなぜか

プロ野球も2022年のシーズンが開幕した。
贔屓の広島はまさかの(と言っては何だが)3連勝ということで、ファンとしては最高のスタートを喜んでいる。
 
さて、例年開幕に先立ち、元選手である解説者の順位予想が出る。今年の我らが広島の順位予想は最下位が圧倒的に多い。
現状の戦力を考えると致し方ないと思いつつも、どうにか一泡吹かせてほしいものとも思ってしまう。
 
これらの順位予想、当たる人のほうが少ない。
もちろん、1位から6位まで完全に当てるのは難しい。その場合の数は720通り。確率的には、解説者が100人いたとして、1人も的中者がいなかったとしても不思議ではない。
とはいえ、プロから見た分析なので、何人かは当たってもおかしくはなさそうだが、なかなかお目にかかることはない。
まあ、1位から6位まで当てなくても、1位だけでもなかなか当たらない。おそらく昨シーズンのセ・パともに1位を当てた解説者はいなかったのではないだろうか。
 
順位予想はなぜ当たらないのか。このことについてちょっと考えてみたいと思う。
 
それを考えるにあたって、順位予想に占める要素を、以下の3つ分解してみたい。
・個々の選手の「能力×コンディション」の総和
・チームとしての戦略の方向性と浸透度
・贔屓のチームの順位調整
 
まずは、選手の能力とコンディション。当たり前のことだが、試合をするのは選手であり、この選手の能力が試合を左右する最も大きなファクターとなる。
なので、これらの総和の高い順番に、予想順位がつけられるはずである。
もちろん、シーズンを通しての選手の成長という要素も挙げられるだろうが、基本的には超能力者でもない限りは、誰が成長するかはわからないはずである。よって、シーズン開幕当初の選手の能力(とコンディション)の総和で評価がなされるはずである。
 
2つ目のチームの戦略の方向性が妥当なのかどうか、そしてそれが浸透しているのかどうか、は元プロ野球選手といえども、基本的には深いところまで理解できないのではないかと思う。
ある程度の情報は得ていると思われるが、1つ目の選手の能力以上に理解はできないと思われるので、基本的には1つ目の選手の「能力×コンディション」の総和で予想することになる。
これが予想が外れる大きな原因と考える。このチームとしての戦略の方向性やその浸透の度合いは、実際の順位には大きく寄与してくるはずである。それなのに、それが加味されない順位予想であれば、実際の順位がズレても仕方がない。
 
これに加え、さらに3つ目の要素として、自分が所属していたチームの順位を上にもってくるという操作が行われる。
まあ、ただの予想なので、そのあたりは愛嬌なのだが、当然のことながらこれは本来順位には一切関係がない。この忖度というか配慮によって、順位予想はさらに外れる方向に作用する。
 
こんな感じで、本来であれば考慮される項目と、考慮する必要のない項目があって、順位予想は外れることが多くなると考える。
 
プロがやる競技なので、試行回数が多ければ、おそらく多く人が予想する順位に収斂していくと思われる。要するに選手の能力の総和が高いチームがより上位に来るはずである。
しかしながら、1シーズン143試合というサイクルを、同じメンバーで何度も試行することは実際にはできない。1回限りの試行である。だからこそ、戦略的要素が大きな意味をもち、運の要素も加味されて、予想通りにいかないことが多くなってしまうのであろう。
 
ということで、評論家の予想を覆すような展開になればいいのにと思った、という話でした。