新型コロナと普通の風邪の2つの大きな違い

年が変わって2022年になり、1ヶ月が終わろうとしているが、年末年始ごろからオミクロン型の変異ウイルスが猛威を奮っている。
このオミクロン型の変異ウイルスは、弱毒化しているとか、風邪と同じとか、いろんなところで言われ始めているが、本当に風邪と同じなのだろうか。
 
当然のことながら、他の風邪の多くも、コロナと同様の急性ウイルス性感染症であることから、同じ部分はあるはずである。
しかしながら、これまた当然のことながら、他の風邪とは違うからこそ、ここまで世界的な問題になっているわけである。
 
となると、風邪と同じとか、風邪とは違うとか、0か100かで議論でしても仕方なく、どこが同じでどこが違うのかを冷静に切り分けないと意味がない。
これまでいろいろな書籍やウェブの記事を読んできたが、コロナと普通の風邪は大きく2つ点で違うのではないかと思い至ったので、ここでまとめておきたい。
 
1つめは、潜伏期間の長さ。
約2年前にコロナが関心を集め始めたころ、無症状の感染者が他の人に感染させるということが話題になった。
この潜伏期間は平均で約5日くらい、最大で2週間くらいと言われ、濃厚接触者や各国への入国者は2週間隔離することが求められるようになった。
これが季節性インフルエンザであれば、感染してからすぐに発症するので誰が感染したのがわかるのだが、コロナではそれがわからないことが、コロナは怖いと印象づけた。
 
もう1つの普通の風邪との違いは、免疫系の暴走。
一般的に、風邪などで熱や痛みなどの炎症が起きるのは、病原体と戦うためにヒトの免疫系が活発に活動することで生じるものだが、新型コロナではある一定の割合でこの免疫系が暴走しはじめてしまう。
体内のウイルスは排除されているのに、引き続き免疫系が活発になりすぎて、肺炎を起こすなどの重い症状を引き起こしてしまうのである。
こういったことは、いわゆる普通の風邪ではまず起きない症状で、ここが普通の風邪との大きな違いである。
(「新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか」より」)
この2点が、いわゆる普通の風邪とコロナの大きな違いだとしたとき、今回のオミクロン型は、これまでの変異型に比べると、このコロナの性質が普通の風邪よりに近づいたとは言えると思う。
潜伏期間はオミクロン型では平均で3日間程度と言われており、これまでに比べて短くなっているし、また免疫系が暴走するような重症化する割合も減ってきていることから、従来に比べると普通の風邪に近づいているとは言えるだろう。
 
ただ、それでもやはり普通の風邪と比べれば、まだ潜伏期間は長く、(ワクチン2回接種がここまで進んだ状況においても)免疫系が暴走するような重症化する割合も高い。
現段階では、普通の風邪だと断言することは乱暴であると考える。
一方で、これまでの潜伏期間を想定して濃厚接触者の隔離などをしていては社会が回らなくなってしまうので、微調整は必要だと思う。だが、だからといってすべてコロナ前に戻せというのも乱暴な意見である。
 
多くの人にとっては単純化したほうが頭の整理ができて、スッキリするのかもしれないが、無理に白黒つけようとせず、現在がどのような状況にあるのかを踏まえた上で、対策を考えていく必要があると思った次第である。
 
ということで、オミクロン型はやはり普通の風邪とは違うのではないか、という話でした。