来場者数の少ない展示会における、起死回生「サクラ」作戦

今週は東京に出張して、とある展示会に出展してきた。
オミクロンによる感染再拡大の時期に重なり、来場者数は落ちるだろうと予想していたが、一方で行きの新幹線では乗車率がかなり高く、ビジネス関係ではコロナにあまり敏感に反応しなくなったのかもしれないと、淡い期待も抱きながら初日を迎えた。
 
で、フタを開けてみると…、結果としては、これまでになかったくらい来場者数が少なかった。
正確に言えば、全体的にはそこそこの人がいるような感じではあるのだが、うちの会社のブースの前の人通りが見たことないくらい少なかった。まわりを見回すと、うちも含めてあまり派手なブースはなく、地味な通りになっており、多くの人が回避したように見受けれられた。
もちろん時間によって上下はするのだが、一番多い時間帯であるお昼過ぎでも、1分間で10人程度しか通らないという時間がほとんどであった。
 
出展を決めた段階で、この1月という時期は再び感染者増になることは予想しており、そこまでは想定の範囲内ではあったのだが、来場者がここまで少なくなることは想定できていなかった。
 
とはいえ、それを嘆いていても仕方がない。ということで、少しあがいて見込み客を獲得するために、「サクラ」作戦を実行することにした。
 
サクラとは、公演主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面や公演全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を作り出したりする者を指す(Wikipediaより)。
サクラ作戦は、これを展示会のブースでやろうというものである。
 
何か店に入ろうとするときも、多くの人はガラガラの店には入りたいと思わない。人が多いほうが何か価値があると思うのが人間で、行列に並びたくのと同じ心理である。
展示会でも来場者が多いときのほうが、ブースに入ってくれる人は多くなり、人は人に引き寄せられるのだと実感する。
 
で、今回のサクラ作戦。具体的には以下のような感じで実行してみた。
ここでは5人のスタッフがいるとする。このとき、5人のうちの2人は来場者役になり、別の2人がその来場者役と展示物を見ながら話をする。残りの1人がフリーで本当の来場者に対応する、という役割分担になる。
A:来場者役
B:来場者役
C:Aに対応するスタッフ
D:Bに対応するスタッフ
E:フリーで本当の来場者に対応する
 
すると、このブースでは、AとC、BとDと二組が話しているように見え、小さなブースであればそこそこ盛り上がっているように見えるわけである。
ここでのポイントは、スタッフ用にジャンパーなどがあれば、AとBはそれを脱ぐこと。スタッフ用のジャンパーを着ているとただの雑談をしている人たちになってしまう。また、AとC、BとDは何かを話していたほうがいい。どうせ聞こえないのだから、無理に展示物の話をする必要はない。昼めしの話など雑談でかまわない。
 
これが基本のフォーメーションだが、ここでブースの前を通りかかった来場者は人も多いし、何を展示しているのだろうか、とちょっと足を止めてくれる確率が高くなる。
そこで、フリーのEがその来場者に対応するという流れとなる。
Eが来場者に対応すると、他の本当の来場者に対応できなくなるので、ここでAとCは解散。今度はCがフリーになって本当の来場者に対応できるようにする。
そのあとは、フリーになるスタッフが1人いるように、フォーメーションを変化させる。本当の来場者がいなくなればまたサクラ作戦に戻る、ということを繰り返すのである。
 
実際に最終日にこのサクラ作戦を実行してみたのだが、それまでと同様、人の流れは少なかったにも関わらず、何度か来場者の「波」をつくることができ、その中に見込み客もいたため、それなりの成果は挙げることはできた。
 
この「サクラ」作戦、ある一定の成果は出せたし、今後の展示会出展でも活かせる作戦ではあることは確認できたのは良かったのだが、一方で来場者数が少ないとどうにもならないということを痛感した展示会であった。
今後、コロナ禍がいつまで続くのかはわからないが、よくよく感染の状況を見極めて判断しないといけないなと実感した次第である。
 
ということで、コロナ感染拡大が予想される時期の展示会出展は避けるべきである、という話でした。