展示会ビジネスの今後

先日、ひさしぶりにとある展示会を視察してきた。
うちの会社では、製品のアピールの場として展示会を活用しており、出展するかどうかの判断の材料にするためにも、時間があるときはできるだけ視察するようにしている。
 
今回視察した展示会にはうちの会社も2年前に出展したのだが、そのころに比べて大きく変わっていた。
変化点としては2点あり、1つは技術等のトレンドが大きく変わっており、出展企業が様変わりしていたこと、もう1つは言わずもがなであるが、コロナの影響で出展者数が大きく減っていたこと。
もう2年前のことなので、正確には覚えていないが、肌感覚では出展者数は半減しているのではないだろうか。ただ一方で、来場者数のほうはそこそこ賑わっている印象であった。
 
今回視察した展示会では出展者数がかなり減っていることから、他の展示会と抱き合わせで開催をされていた。
推測になるが、会場費を抑えるためと来場者数を多く見せるために、一見関係のない展示会を同時に開催しているものと思われる。
来場者数はそこそこいたと書いたが、それは密度的に人数がいるということであって、出展者数が半減し、出展スペースも半分になっているとするのであれば、来場者数も半分近くになっていると考えるのが妥当であろう。
 
今回視察した展示会はこんな感じだったのだが、ここからは今後展示会ビジネスがどうなるか考えてみたい。
 
まず、コロナ下における展示会での感染のリスクについては、個人的にはかなり低いと考えている。
主催者側も感染対策にはかなり力を入れており、また来場者もビジネス関連ということで、問題がある人が入ってくる可能性は低く、マスクもつけており、それほど長い会話をするわけではない。さらにはワクチン接種も進んでいることから、今後はさらに感染リスクという面では問題がなくなってくると考えていいだろう。
一方で、とはいえ感染拡大期では、いくら頭で感染リスクは低いとわかっていても、来場者の足が遠のくことが予想される。展示会の視察というのは、ちょっと未来のビジネスのネタを探しに行くという要素が強く、足元の切迫した課題を解決するためにいくことは少ないので、どうしても感染拡大期は不要不急の展示会には無理してまで行かないということになってしまう。
 
そうなると、出展を検討している会社は、展示会の会期が感染拡大期にあたるのかどうかということが非常に大事なポイントになる。上述のように感染拡大期はどうしても来場者数が少なくなってしまい、出展の効果が大きく下がってしまうので、できればこの時期の出展は避けたい。
ちなみにうちの会社は、12月の展示会への出展を決めており、さらに来年1月の展示会への出展を検討しているのだが、1月はおそらく第6波の真っ最中で、来場者数はかなり減るので二の足を踏んでいる。12月のほうはギリギリ間に合うかなと思っているが、こちらも状況次第では、閑古鳥が鳴くといったことになるかもしれない。
 
また大企業ではレピュテーションリスクを避けるために、コロナが終わるまでは展示会の出展自体を取りやめようという動きがすでに進んでくると考えられる。
このコロナ禍は少なくとも来年は続くと考えたほうがいいし、もしかするとあと数年続くかもしれないが、そう考えると出展者数はコロナ前の半分くらい当分推移するかもしれない。
 
主催者側からすると、直接の顧客である出展者が減るということは死活問題となる。そのため、上述したように、一見関係の薄い展示会も同時開催することで、コストを抑えるということはやっていくだろうが、これではジリ貧である。年間の総来場者数をある一定数確保しないと継続できないビジネスモデルであることから、ここ数年は厳しい時期が続くことが予想される。
他の会社のことを心配している場合ではないのだが、展示会出展を製品・サービスの重要なアピールの場と考えているうちのような中小企業からすると、どうにかこのコロナ禍を乗り切ってほしいと考える次第である。
 
ということで、今後展示会というビジネスは、出展者側も主催者側もなかなか厳しい時期が続く、という話でした。