日本で第6波が来ない条件

9月末で全国的に緊急事態宣言やまん延等防止措置が解除されたが、これまでのところ順調に新規感染者数は減っており、平穏な生活が戻ってきているような印象がある。
さて、これがこのまま低い感染者数で推移するのか、それとも再度感染者数増加のフェーズに入るのか、ということことなると、後者の確率のほうがかなり高いと私は考えている。
その理由は、ワクチン接種者がかなり進んだとしても、集団免疫の獲得まではほど遠く、社会の活動が活発化すれば、未接種者を中心に感染が広がると考えるからである。実際に、日本より早くワクチン接種が進んだ欧米の例を見ても、そのようになっている。
 
おそらく、この年末年始は昨シーズン同様の感染爆発が起こると予想するが、もしそうならず第6波が来ないとすると、それはどういう条件が満たされたときか、ちょっと考えてみたいと思う。
 
まず、考えられるのが、マスクを忌避しない国民性が感染拡大の抑止に寄与するのではないかという考え。
欧米ではワクチン接種が進んだ後、一気に制限を解除し、マスクの着用まで義務付けなくなったことから感染が拡大したと言われている。
一方で、日本ではマスク着用自体に国民の多くは嫌悪感を抱いておらず、これは感染拡大抑止の方向に働くのは間違いない。
ワクチン接種とマスクの着用の二段構えで、第6波来ないというシナリオはなくはないのかもしれない。
 
ただ、日本や欧米よりもワクチン接種進んでいるシンガポールでは、ワクチン接種は全国民に対して80%を超えていて、かつマスク着用は義務化されているが、行動制限を解除した途端、感染者数は過去最高を記録している。ワクチン+マスクだけでは完璧ではないようである。
 
となると、このワクチン+マスクに、どういった条件が加われば、感染拡大は起きないのか。
国民の8割近くはワクチンを接種しており、また国民のほとんどがマスクをしているという状況下で、感染が起こるとすれば、やはり飲食の場か家庭内ということになるだろう。
これまでも感染場所としてはこの2つが多かったが、これからはほぼこの2つに絞られるではないだろうか。とくに日本ではマスクの着用が前提になっているので、マスクを外す場はこの2つくらいしかない。
 
そうなると、飲食の場において、どういう条件であれば感染が多くなり、その逆としてどういう条件であれば感染が少なくなるかを考えばいいとなる。
 
例えば、2人で食事をする場合を考えてみる。1人がワクチン接種済、もう1人が未接種とする。
まず、接種済みの人が感染している場合を考えてみたいが、そもそもワクチン接種者が感染している可能性は低い。仮に感染していたとしても(症状があれば食事には来ないだろうから)無症状であれば多くのウイルス量を発することはない。そう考えると、もう1人の未接種者に感染させる確率は(これまでの両方とも未接種の状況に比べると)だいぶ低いものになる。
逆に、未接種者が感染していたとしても、ワクチン接種者には感染はしにくい。感染したとしても、発症する確率はさらに低いだろう。
何が言いたいかというと、ワクチン未接種者どうしでなければ、それほど頻繁に感染が起こるということはないのではないかということ。
 
もしこの仮説が正しいとするならば、ワクチン未接種者が複数人いないという状況(できれば1人もいないという状況)か、いっしょに食事する人数が少ないという状況(確率的には5人で食事をすれば1人は未接種者がいるということなる)をつくることができれば、感染が0とは言えないまでも、感染が起こる数をかなり減らすことができると考えられる。
 
そう考えると、ワクチンパスポートのようなワクチン接種者だけが自由に飲食できるという制限をかけるか、1組あたりの人数を4人程度までにする、といった打ち手が考えられる。
前者は政策のスピード的にこの年末年始には間に合わないと思われるので、後者がどこまで実現できるかどうか。
ワクチン+マスク+大人数での食事の禁止、このあたりまで徹底できれば、第6波を避けられるのではないかと思うのだが、どうだろうか。
あとは、これがどこまで実現可能かということだが、正直実現可能性は低いだろうと思う。これまで制限が大きかった分がその反動が出てくるだろうし、国民の多くがここまで考えて行動するとは思えないから。
よって第6波はやってくるという予想には変わりはないのだが、果たしてどうなるだろうか。
 
ということで、第6波が来ない条件を考えてみた結果、やはり来るだろうという結論になった、という話でした。