展示会の出展者はなぜみんなに声をかけようとするのか

ひさしぶりに展示会の視察に行ってきた。
コロナ下ということで、出展社数は少なかったし、さらにはその中でも直前に取りやめた会社もあり、コロナ前に比べるとかなりコンパクトな印象だったが、それでも来場者はそこそこいて盛り上がりを見せていた。
 
今回だけでなく、展示会に来場者側で行くといつも思うのだが、出展者から一方的にパンフレットやノベルティを渡そうとされることが多い。なぜ出展者はなぜ手当たり次第に声をかけるのか、と思ってしまう。歩いているこちらからすると、ほとんどのブースは自分のビジネスとは関係ないのに、次から次へと声をかけてくる。
 
このような一方的に声をかけてくるような方法では効率的に見込み客を獲得することはできない。
来場者のうち、出展者の見込み客になりうる人たちはかなり少ないので、手当り次第パンフレットやノベルティを配っても、関係ない人たちに無駄にアピールしていることになってしまうのである。
それだけならまだいいが、多くの人は一方的に声かけられると拒否感を抱いてしまうので、見込み客になりうる人たちも遠ざける結果になってしまう。ちょっと想像してみてもらうとわかると思うが、メニューをみてから入ろうと思った飲食店で声をかけられてたらどうするだろうか。きっとその店には入らずに逃げてしまうことのほうが多いはずである。
手当り次第、声をかけるという行為は、展示会においては非常に非効率的な行為なのだが、展示会会場ではそこかしこで起きている。
 
なぜ出展者は来場者に手当り次第声をかけてしまうのだろうか。その理由は大きく2つとあると考える。
 
1つは、より多くの来場者に接触すれば見込み客が増えると思っているから。
しかし、これは上述したとおり、錯覚なのである。
声がけする分母を増やせば、見込み客にあたる分子が増えると思っているのだが、来場者にうち見込み客になりうる人たちはかなり少ないので、手当たり次第声をかけてもうまくいく可能性がかなり低い。
 
もう1つはの理由は、動いていることで仕事をしている感覚になるから。
ただ立っているだけでは仕事をしていないと、その本人もまわりの人間も思ってしまうので、とりあえず何かしようと思ってしまうのである。
これはおそらく人間の本性で、働かざるもの食うべからずではないが、働いていないとレッテルを貼られることを避けようする本能が働くものと思われる。
人間の本性だとすると、仮にパンフレットをただ渡すだけでは意味がないと気づいたとしても、そういう行動を避けることは難しい。
 
ではどうすればいいか。
錯覚と人間の本性が原因であるので、よほど徹底しないと直らない。
ただパンフレットを配るだけではない意味がないことを理解させ、声がけのタイミングをキッチリ練習して展示会に臨まないといけない。
ブースのデザインにはかなり力を入れてお金もかけているのに、この声がけの仕方を工夫していない会社が多くてもったいないなと思った次第である。
 
ということで、展示会でむたみやたら声がけをするのは人間の本性からである、という話でした。