ちきりん氏のVoicyプレミアムライブのサマリーに見る、コンテンツの時間の長さに関する考察

先日、Voicyのパーソナリティのちきりん氏による、プレミアムライブと呼ばれる生配信を行われた。テーマは「音声配信は稼げるの?その現状と可能性」ということで、11月18日(木)20:00~の配信であった。
Voicyには、パーソナリティごとに月極で有料コンテンツを配信するというプレミアムリスナー制度というものがあり、私はちきりん氏のプレミアムリスナーに登録している。
今回のプレミアムライブはこのプレミアムリスナー限定の配信で、私自身音声配信を行っているわけではないが、音声サービスの未来についてちきりん氏の見解が聞けるということでぜひ聞いてみたいと思った。
 
事前に、今回の生配信の内容はアーカイブを残すかどうかわからないと言及されていたので、これはぜひライブで聞かなければと思った。

 

と思ったのだが、カレンダーを確認してみると当日は会食があり、結局この会食後の帰り道に最後の15分程度だけしか聞くことができなかった。
そういうわけで、ぜひアーカイブに残してほしいなと思っていたのだが、ちきりん氏の選択は、アーカイブを残すか残さないかではなく、このライブアワーで話したことのサマリーを翌日10分程度の時間で配信するというものだった。
 

 
この、生配信の内容をアーカイブとしてそのまま残すのではなく、サマリーして配信するという方法、非常にいい方法だと思ったので、ここではその理由についてまとめておきたい。
 
なぜ、いい方法だと思ったか。
それは、多くの人は、ライブであれば1時間の配信を聞くのは苦にはならないが、アーカイブだと長く感じてしまい、選択されにくくなると思ったから。
 
私自身、テレビで1時間番組を見る前に、これは長いなと感じることはあまりないが、同じ内容のものであってもTVerなどの見逃し配信サービスで見るときはちょっと長いなと感じて、見るのを躊躇してしまう。1時間の番組と30分の番組があれば、30分のほうを選択することが多い。YouTubeで1時間の動画を見るときも、相応を覚悟をもって見る。
 
こんな感じで、ライブやリアルタイムのコンテンツであれば1時間という時間がそれほど長く感じないのに対して、アーカイブのコンテンツになると1時間がかなり長く感じ、視聴のハードルが高くなるというのはよくあることだと思う。
 
では、なぜライブやリアルタイムのコンテンツに比べて、アーカイブだとハードルが高くいと感じてしまうのだろうか。
理由は大きく2つあると考える。
 
1つは、ライブやリアルタイムの場合、時間を共有している感覚があるのに対して、アーカイブではそれがないから。
これは、配信者との時間を共有しているということに加えて、同じように視聴している人との時間も共有している感覚もある。
質問するといった行為は配信者との時間を共有していることで可能となる。アーカイブの配信を視聴しながら疑問が思い浮かんでも質問することはできない。
また何か思ったことをSNSなどで配信するとして、これもリアルタイムでないと難しい。自分がどう思ったかを発信したり、他の人がどう思ったかを知るにはリアルタイムのでないとやりにくいだろう。
こういった、配信者や視聴者との時間共有の感覚によって、ライブやリアルタイムのコンテンツは視聴するハードルは下がるのに対して、相対的にアーカイブではハードルが高く感じてしまうのではないだろうか。
 
もう1つは、アーカイブの場合は、他のコンテンツや他の行動といった選択肢が増えていしまい、意思決定のコストが上がってしまうから。
ライブやリアルタイムでコンテンツを視聴しようと思ったら、その時間でしか視聴できないため、視聴を決めた時点で他の選択肢を考える必要がない。
それに対して、アーカイブの場合は、時間に縛られないため、必ずしもそのタイミングで視聴する必要はない。その時間で他のコンテンツを視聴してもいいし、読書をしてもいいし、仕事をしてもいい。今である必要がないため、多くの選択肢の中からそのコンテンツを選ばなくてはならず、それに加えてそのコンテンツの時間が長ければ、より意思決定のハードルが高くなる。
コンテンツを配信する側見ると、時間の長いアーカイブのコンテンツは選択されにくくなるということである。
 
ちきりん氏はこのあたりのライブとアーカイブの違いについて、よくよく認識されており、今回わざわざサマリーしたものを撮り直して配信したと思われる。
そう考えると、ライブとサマリーのアーカイブという組み合わせは、これから増えてくるかもしれないと感じた次第である。
 
それでも、ちきりん氏のコンテンツであれば1時間聞きたいと思った、という話でした。