「躾」という考え方

先日、Voicyの「モンテッソーリ子育てラジオ」を聞いていたらハッとさせられることがあったので書き残しておきたいと思う。
 
この「モンテッソーリ子育てラジオ」は、モンテッソーリ教師のあきえ先生という方が、モンテッソーリ教育の考え方に基づいて、子育てに対する向き合い方を話したり、リスナーからの質問に答えたりする番組である。
 
その「モンテッソーリ子育てラジオ」で先日、1歳児のしつけに関する質問に回答するという内容の配信があった。
 
質問の内容は、1歳児にどこまで躾をする必要があるのか、というものであったが、あきえ先生は、まず前提として「躾は必要ない」と回答した。
モンテッソーリ教育では大人も子どもも一人の人間として対等であると考え方が前提。躾という言葉の概念は、大人から子どもへ上から下へ見るような捉え方をするので、まずはしつけるという考え方ではなく、伝えるや教えるというスタンスでいいということであった。
夫が妻をしつけるとは普通言わないし、言ったら問題なるが、大人から子どもへはあまり気にせずに使ってしまいがちであるとも話していた。
 
さて、この内容のどこにハッとさせられたのか。
私は工場を運営する会社の経営者をしているのだが、その工場運営の中で「5S」という考え方がよく出てくる。
「3S」は聞き馴染みがあるかもしれなが、整理・整頓・清掃の3つのSをまとめたものである。
「5S」とは、これに清潔・躾を加えた5つのSをまとめたものものである。
ここでの「躾」には、多分に工場の管理者が作業者をしつけるという、上から下へ見るような捉え方が含まれている。
 
モンテッソーリ教育では、大人と子どもは一人の人間として対等であるという考え方が前提であるが、ではそうなると工場における管理者と作業者は対等な関係ではないのだろうか。
管理者と作業者は、上下の関係であるという考え方も、対等な関係であるという考え方も、どちらが正しいとかをここで言うつもりはないが、少なくとも5Sの考え方は上下の考え方に基づいているのは間違いないだろう。
 
個人的には、経営者と従業員、管理職と一般社員は、役割の違いはあるが、上下の関係ではなく対等な関係だとは思っているのだが、無意識のうちに上下を前提とした言葉が使われていることに、ハッとさせられたという次第である。
 
ということで、少なくとも私は子育てでも工場でも躾という言葉は使わないようにしようと思った、という話でした。