モンテッソーリ教育とは、親に自律と忍耐力を求める教育論

最近、インターネットラジオサービスのVoicyで、「モンテッソーリ子育てラジオ」という番組を聞くようになった。
この番組のパーソナリティーモンテッソーリ教師あきえ氏は、元幼稚園教諭で、モンテッソーリ教育の考え方に沿って、子どもや子育て、教育について情報を発信されている。
 
私も現在5歳の娘と0歳の息子の絶賛子育て中で、「モンテッソーリ教育」という言葉も聞いたことがあり、興味はもっていたのだが、その中身についてきちんと理解できていなかったので、ちょうどいいと思いこのVoicyを聞くようになった。
このVoicyは、視聴者からの質問に、あきえ先生が答えるという形式で構成されており、毎度勉強になっていたのだが、一度基本的な考え方をきちんと理解したいと思い、氏の著書を読んでみた。
 
モンテッソーリ教育とは、今から約110年前にイタリアで、マリア・モンテッソーリという女性医師によって、子どもを観察することで築き上げられた教育方法で、「子どもを尊重して信じる」ことを基盤として、理論や方法が築き上げられている。
基本的な考え方として、「大人が子どもを育てる」ではなく「子どもが自ら発達していくのを手伝う」のが大人の役割としている。
また、子どもの発達のゴールは、子どもが自立(自分のことが自分でできるようになること)し、自律(自分を自分を律することができるようになること)できるようにしていくことであると定義している。
 
この基本的な考え方に沿って、具体的にイヤイヤ期のかかわり方や、子どもが甘えてきたときのかかわり方などについて、どう行動すればいいかについて解説してくれている。
 
例えば、イヤイヤ期のかかわり方として、次の6つのポイントを挙げている。
①事前アナウンスで区切りを知らせる、②次の楽しみを伝える、③協力を求め、お願いする、④思いを受け止める、⑤善悪の線引きをハッキリと示す、⑥そして、待つ
そして、善悪の線引きをブレることなく示し続ける大人の姿勢が、子どもの自律を助けるので、「対立」するのではなく「応援」の姿勢でかかわることが大切であると説いている。
 
以上が、この書籍の概要についてだが、私はこの本を通じてモンテッソーリ教育の考え方を明快に理解することができた。
もともと私自身、子どもたちとは、一人の個人として接したいと思っていたので、この考え方には共感することができた。
 
しかし、である。
総論は両手を挙げて賛成なのだが、いざ実践できるかというと別である。
子育ての現場では、時間がないことが多い。その時間がない状況で、子どもの行動に対して、モンテッソーリ教育の原則論に照らし合わせて行動できるかと聞かれれば、多くの場面でNOである。
私自身、娘とのかかわりを振り返ると、自分に余裕があるときはいいのだが、時間がなかったり機嫌が悪かったりすると、つい抑えつけるような上からの行動をとりがちである。
先に挙げた、イヤイヤ期のポイントと自分の行動を照らし合わせると、途中で挫折してしまうことがほとんどであったし、次にくる息子のイヤイヤ期においても、このとおり対応できるかと言われれば自信がない。
 
この書籍の中でも、大人の思い通りにいかないことに自らの感情をコントロールする「忍耐力」が必要になるので、大人自身も子育てしながら大きく成長できるとあるのだが、モンテッソーリ教育とは子育てのメソッドというよりも、親の成長を促す方法論に思えてきた。
親がこの教育法に沿って成長できれば、子どもも自然と成長できるということなのかもしれない。
 
この書籍の最後に、子どもは常に「今」を生きていて、大人はいつも過去のことは未来のことを考えて生きている、とあった。
モンテッソーリ教育とは、親が子どもと同じ「今」という時間軸で寄り添い、いっしょに生きていくことを説いているのだと私は感じた。
 
モンテッソーリ教育を実践していくことは親にとってかなりの大変なことだと思うが、こうやって原則論を理解することができたので、日々そこに近づいていこうと思った次第である。
 
ということで、モンテッソーリ教育とは親を教育するための方法論だと感じた、という話でした。