現在(2021年8月上旬)、日本では都市部を中心に新型コロナウイルスの感染が猛威を奮っている。
高齢者を中心にワクチン接種が進んでいるが、それ以上にウイルスの拡大のほうが速いという感じか。
その原因と言われているのが、デルタ株。従来株からの変異したもので、感染力は2倍程度とか、それ以上とも言われている。
さて、デルタ株は感染力が高いということがしきりに言われれているが、感染力が高くなるというのはどういうことなのだろうか。ちょっと考えてみたい。
一般的に、飛沫感染に比べると空気感染は感染力が高いと言われる。
これは飛沫に含まれるウイルス数と、空気感染時のウイルス数の違いを意味すると理解している。
となると、感染力が高いというのは、感染するのに必要なウイルス数が少ないことを意味するのだと考えられる。
要するに、従来株であれば、10,000個のウイルスが体内に入らないと感染しなかったが、デルタ株は1,000個のウイルスが体内に入っただけで感染してしまうといった感じか(10,000個とか1,000個という数字に直接意味はありません、あくまでもイメージです)。
これまで私は感染対策として3つのことが大事であると言ってきた。うちの社内でもこの3つに気をつけるようにしきりにコミュニケーションしてきたつもりである。
1.発熱や咳といった風邪の症状がある場合場合は休む(風邪の症状のある人は入れない)
2.マスクなしで、短距離、長時間の会話を避ける
3.睡眠・栄養をよく取る
暴露(体内にウイルスが入り込むこと)と感染(細胞内に入ったウイルスが増殖しはじめること)と発症の違いから、体内に入ってくるウイルス数をできるだけ減らす、仮に体内に入って感染したとしても増殖しないようにする、という観点から上述の3つを意識して生活することが大事だと思っている。
この3つ視点から考えると、今回のデルタ株、従来と異なる対策が必要なのは2つ目か。
より少ないウイルス数で感染するということは、少しの会話でも感染する可能性が高まっているということである。
これまでは症状のない感染者がいたとしても、マスクをして距離をある程度取って15分以内の会話であれば、感染の危険性はそれほどないと認識していたが、デルタ株に置き換わって来てからは、マスクをしていても、少々距離を取っても、ほんと短い間の会話でも、感染する可能性があるということになる。
飲食店だけでなく、百貨店などでも感染者が出ていることもからも、これは説明できる。百貨店での接客は長くてもせいぜい15分程度。店員で症状のある人はいないだろうし、客側もこのご時世咳をしながら買い物しないという前提にたてば、店員も客もマスクしているし、感染が起こる可能性は低いと思ってきた。それが、多くのデパートでクラスタが発生していることからも、短い会話でも感染が起こっていると考えるのが妥当であろう。
これまでも、会話の相手がウイルスに感染しているかもしれないと思って対応する必要があったが、今後はよりその意識をもたなければいけないということになる。
オフィスでも長時間の会話はしない(せいぜい3分程度か)、それ以上になる場合は例え近くても電話はZoomなどを活用する。換気はよりこまめに行う。といったあたりが必要になってくるだろう。
一方で、空気感染までが起こっているとは考えにくい。
未だに通勤・通学の電車でのクラスタが発生していないことからもこれは言えるだろう。
そう考えると、会話が発生しなければ商業施設などでそれほど神経を使う必要はないだろう。もちろん人がごった返すような場所は避けるのは大事だし、飛沫が残留しているような箇所を避けることということは意識しておいたほうがいいだろうが。
あと、接触感染については、これまでどおりあまり気にしなくていいと思うのだが、どうだろうか。
上述のとおり症状のあるような感染者はいないという前提に立つのであれば、従来株であろうがデルタ株であろうが、感染者から出てくるウイルス数は変わらないし、それほど多くはないはずである。
となれば、いくら感染力が強い(=少量のウイルスでも感染する可能性がある)といっても、感染する閾値に達する可能性は低いと思う。
とこんな感じで、デルタ株は感染力が強いと言われているが、ちょっと具体的にイメージしてこれまでと対策の違いについて考えてみた。
基本的な対策は変わらないが、会話での距離や時間、あとはマスクの有無や種類などについては、これまで以上に気をつけないといけないのかもしれない。
ということで、コロナへの対応は思った以上に長引くのかもしれないと思った、という話でした。