サブスクモデルにおける2つの課金形態

サブスクリプションモデル」という言葉がもてはやされるようになって久しい。
要は月額課金のことだが、古くは新聞がこの形態だし、別に目新しくない。
これまで無料が当たり前、有料であっても買い切りが一般的だった、ウェブサービスにおいて月額で課金するというやり方が、発想の転換だったのだろう。
 
ということで、私もこのサブスクリプションモデルのサービスのいくつかに加入している。
思い当たるところを上げると、Amazon PrimeYouTube Premium、各種メルマガやオンラインサロン、Voicyのプレミアムリスナーといったコンテンツに、EvernoteDropbox、Nozbeといったウェブサービスあたりだろうか。
 
こうやって利用しているサービスを挙げてみると、課金方法に2つの方法があるのに気づく。
 
1つは、お金を払っている期間だけ、サービスを利用したり、コンテンツにアクセスできる権利を有するタイプ。
多くのサブスクモデルはこのパターンであろう。
わかりやすいところで言えば、YouTubeのメンバーシップはこのパターンである。
例えば、この6月にあるチャンネルのメンバーシップに申し込み、1ヶ月分の代金を支払う。すると、この1ヶ月間は過去のもの含めてすべての有料コンテンツにアクセスできるが、7月に入るタイミングでやめてしまえば、6月に出たコンテンツも含めて見ることができなくなる。
オンラインサロンもこのタイプが多いのではないだろうか。入会している月はすべてのコンテンツにアクセスができるが、やめると会員であった月に出たものも見ることができなくなる。
 
要するに、その期間サービスやコンテンツにアクセスできる権利を買うというシステムである。だから、1ヶ月だけ加入して、その期間内に過去のコンテンツを全部見てしまうといったことが可能である。
 
もう1つの形態が、代金を支払っている月に出たコンテンツだけ閲覧できるタイプ。
メルマガあたりが典型的で、例えば6月だけメルマガを購読したとすると、6月分のメルマガは7月以降も読むことが可能であるが、過去分を記事を読むことはできない。
紙の新聞も同じ形態で、2020年に新聞を購読して2021年にはやめたとすると、2021年になっても(捨てていなければ)2020年の新聞は読むことができるが、2021年から購読をはじめても、2020年の新聞は読むことはできない。
ただ、新聞の電子版の多くは、おそらく1つ目のタイプの課金をしており、紙の新聞と電子版で課金形態が違うというのは興味深い。
 
あと、最近で言えば、Voicyのプレミアムリスナーという制度はこの2つ目の課金形態である。
Voicyというインターネットラジオサービスは、基本無料で聞くことが可能なのだが、昨年からプレミアムリスナーというサービスを開始し、有料の音声コンテンツを提供できるようになった。
ただし、その月にリリースされたコンテンツに課金するしくみをとっており、例えば6月の1ヶ月だけ加入したとすると、6月のコンテンツは7月以降も聞くことができるが、6月に5月以前のプレミアムリスナー向けコンテンツは聞くことができない。5月のコンテンツを聞きたいと思ったら、別途5月分を購入する必要がある。
 
こうやって考えてみると、2つめのタイプは買い切りとも言えて、厳密にサブスクリプションモデルと言えるのか微妙なところである。
ただ、どちらにしろ、この2つのタイプの違いがあるのは確かで、どちらにも一長一短がある。
サービス提供者としては、もちろんどちらのタイプで課金するのかは意識して選択していると思われるが、サービスを利用する側もちょっと考えて利用してみてもいいのではないかと思った次第である。意味があるのかどうかはわからないけど。
 
ということで、サブスクといっても2つの課金形態があるよね、という話でした。