幕張新都心に見る30年前の近未来

先週は展示会視察ということで東京に出張に出た。
東京で展示会と言えば、東京ビッグサイト幕張メッセということで、うちの会社でも両方の会場で出展したことがある。
去年の12月には、幕張メッセでの展示会に出展し、1週間幕張に滞在した。
 
今回の出張でも幕張メッセに行ってきたのだが、幕張に行くといつも思うことがある。「30年前の近未来」という感じ。
 
この「30年前の近未来」、ちょっと違和感があるかもしれないが、こう表現するのが私はしっくりくる。
30年前はこういう未来都市になるんじゃないかと考えて設計したのだと思うが、実際にその未来がやってくるとちょっと違っていたという感じである。
 
海浜幕張駅から幕張メッセまで、コンクリートの打ちっぱなしのペデストリアンデッキがつながり、その間のビルやホテルにもつながっている。
地上を歩かずとも各施設まで行くことができる。なんとも近未来的である。
 
近未来的な見栄えはするのだが、実際は駅から幕張メッセまでの距離は微妙にあって、その間雨に濡れずに行けるというわけでもなく、またちょっと複雑なつくりになっていて初めてきた人にはわかりにくいつくりになっている。
 
もうかれこれ20年以上の前の話だが、私は前職で幕張に事業所があったので、研修や仕事でよく行っていた。
そのときから、昔の近未来的な街並みという印象をもっていた。
海浜幕張駅を挟んで幕張メッセとは逆側も、ペデストリアンデッキが延びているが、つながっていてほしいところがつながっていなかったりして、とにかく使い勝手がイマイチ。見た目重視でつくったんだろうなという感想を当時からもっていた。
 
私は野球観戦が好きなので、千葉マリンスタジアムにもよく行ったのだが、これも微妙に遠くて、歩くには遠いし、バスを待つほど遠くはない、という微妙な距離。こちらも雨に濡れずに球場まで行けるわけでもない。このあたりの不便さも昔の近未来感を醸し出しているなと思ったものだ。
 
こんな感じで機能面ではイマイチな感じなのだが、これはこれで世界観が統一されており、嫌いではなかった。
私の所属していた会社のビルも当時はまだ新しく、最先端の場所で仕事をしているという感覚をもっていたことを覚えている。
 
しかしである。ここ近年、海浜幕張駅周辺には新しい商業ビルが建っているのだが、これらが一様に実用的だがダサいのである。
ビル自体は今どきで普通なのだが個性的ではないし、入っているテナントも普通の居酒屋が多く、その居酒屋のロゴがビルの前面に並んでいるので、普通の駅前の風景と同じになってしまっているのである。
 
使い勝手は悪いが見た目が近未来的な街並みと、駅前の使い勝手はいいがダサい建物が、なんともアンマッチなのである。
誰が企画して、誰が許可したのかは知らないが、なんでこんなチグハグなことになってしまっているんだろうと思う。近未来で行くのであれば、それを貫いてほしかった。
 
さて、そんな近未来な幕張も、幕張メッセが開館が平成元年(1989年)ということで、すでに30年以上経っており、ペデストリアンデッキ含めて、これから改修や建替なども必要になってくると思われる。
これからのさらなる20年で、この近未来的な街並みを維持していくのか、それとも普通の街並みへとつくりかえられていくのか、両者の綱引きがどちらに振れていくのか見ていきたいと思う。
 
ということで、今後もちょくちょく幕張に行くことがありそうなので、変化をウォッチしてきたいと思った、という話でした。