バブル期の建築物の特徴

先週は展示会視察で出張に出たのだが、その際に東京ビッグサイト幕張メッセに行ってきた。
前回の記事では幕張ならびに幕張メッセについて書いたが、東京ビッグサイトもなかなか特徴的な建築物である。
 
東京ビッグサイトの竣工は1995年、幕張メッセは1989年と、どちらもバブル期に計画された建築物である。
これらの建築物を見ると、バブル期につくられたんだろうな、といつも思ってしまう。
他にも、東京国際フォーラム(竣工1996年)や大阪の梅田スカイビル(竣工1993年)を見ると、同様のことを思う。
 
このバブル期に建築物の特徴というと、見栄えはいいのだが、使い勝手がイマイチで、また非常に非効率な造りをしている、といった感じ。
 
例えば、東京ビッグサイトも、幕張メッセや幕張の街並み同様、非常に近未来的な建物で、見栄えはすごく特徴的である。
しかし、使い勝手や効率はよくない。
駅から進むと見えてくる会議棟は、見た目は派手なのだが、専有している面積に対して延床面積はかなり少ない。
ほんとであれば、もっと会議室をつくることができるのだろうが、見た目を優先させたために、機能面が犠牲になっている。
また、西展示棟は吹き抜けが大きく、エスカレーターも複雑に配置されていて、こちらも同様に見た目はかっこいいのだが、非効率である。
無駄に歩かされることも多く、使い勝手がお世辞にもいいとは言えない。
 
一方で、最近の建築物は、特徴的なデザインは少なく、ただそれでいてスタイリッシュでオシャレで、敷地面積に対する延床面積も大きく効率的な建築物が並んでいる。
奇抜なデザインは狙わずに、いい方は悪いが無難にかっこいいデザインで、見た目と機能性を両立させている。
東京ビッグサイトでも、2019年に開業した南展示棟は、今風のつくりをしていてムダがない。普通の建物で面白みという点では欠けているかもしれないが、これが現代のトレンドなのだろう。
 
ちなみにうちの地元にも、バブル期につくられたスポーツジムがあったのだが、この建物は屋根が流線型をしており、見た目は非常に特徴的だった。
近年、その敷地に大型ショッピングセンターが建ち、その建物は取り壊され、スポーツジム自体はその近くに建て直したのだが、この新しい建屋は非常にシンプルでコンパクトにまとまっていて使いやすい。おそらく、建築費は当初のものと比べてかなり抑えられらたのではないだろうか。
地方であっても、バブル期には、贅沢な造りの建築物が多かったのだなと思い知らされる事例だと思っている。
 
以上のように、バブル期につくられた(正確にはバブル期に計画された)建築物は、見栄えが独創的だが、使い勝手が悪かったり、非効率であるものが多いという印象のものが多い。
さらには、デザインが独創的なだけに、時間が経つと古く見えてしまうからもったいない。
近未来的なデザインが、逆に未来予測を間違えた感じを醸し出してしまうのだろう。
そして、そのことが、それらの建築物を見るたびに、バブル期につくられたんだなという感覚させてしまうのだと思う。
 
こうやって振り返ると、無駄に贅沢するのがバブル期だったんだろうな、感じ入ってしまう。
そう考えると、これらの建築物を残すことが、バブル崩壊を後世にまで語りつぐにの有効なのかもしれない、なんてことを思ったという話でした。