新型コロナウイルスにおける合成の誤謬

東京での新型コロナ新規感染者数が連日2000人を超え、ついに1都3県に緊急事態宣言が出ることとなった。
東京圏だけでなく、他の地域においても、大都市圏では堰を切ったように感染者増が相次いでいる。
 
そんな中、今日Twitterを見ていたら、藤沢数希氏のこんなツイートがあった。
 

 
この推論が正しいと仮定して話を進めると、10人の宴会が100件あったとすれば5件は感染者いるということになる。
たしかにこの確率はそこそこ高いのだけど、裏を返せば95件は感染者はいないということにある。
感染者がいないということは、当然クラスターどころか感染自体起きない。
さらには、5件のほうも、実際に感染が広がるケースは、そのうち1件くらいかもしれない。
 
となると、ミクロで見れば、たとえ大人数の宴会に参加しても、感染する確率はかなり低いということになる。
上の例で考えると、今の東京のような状況において、10人の宴会に参加としても、その宴会で感染が起こる確率は1%だし、自分が感染する可能性はもっと低いということになる。
同様の宴会に10回出たとしても、自分が感染する確率は数%である。
たしかに、交通事故にあう確率に比べたらめちゃくちゃ高いが、それでも1回くらいなら大丈夫だろうと考える人も多いであろう。
個人から見ると、このくらいの確率であれば、宴会に参加することは、十分合理的だと言える。
 
ただ、マクロでみれば、こんな宴会があちこちでやっていたら、確実にどこかでクラスターが発生する。
そして、そこからまた感染が広がり、指数関数的に感染者が増加するということになる。
 
新型コロナのクラスター感染のニュースは連日放送され、なんでそんな飲み会やるんだと非難を浴びているが、それは氷山の一角である。
1件クラスターが発生してニュースになったら、おそらくその100倍以上は同じような行動をしたグループがあり、そしてこの人たちは感染を免れているのである。
 
ミクロの視点では合理的なことでも、それが合成されたマクロの世界では、必ずしも意図しない結果が生じることを合成の誤謬というが、まさに今それが起きている。
となると、ミクロの視点においても合理的ではないとみんなに思わせないといけないのだが、それが緊急事態宣言と飲食店への補償でうまくいくのか、事はそう簡単ではないかもしれない。
 
ということで、ちょっと計算してみると、こんな感染者増の状況でもそんな簡単に感染はしないということがわかった、という話でした。