一蘭に見る、観光客向けビジネスの行く末

今日は家族で福岡に買い物に出かけ、昼は一蘭でラーメンが食べたいということで、博多駅の地下街の店舗に行った。
 
すると、券売機にラーメン930円と表記されていて、目を疑った。たしか、キャナルシティの四角いお重みたいな器に入ったラーメンは高い印象があったが、普通の丸い器に入ったやつで900円オーバーということで、いったいどこまで値上げをすればいいんだ、とちょっと憤ってみたが、家族連れだったのでおとなしく食券を買って中に入った。
 
出てきたラーメンは相変わらずおいしかったのだが、入っている麺も相変わらず少なく、いや少しずつ減らしているんじゃないかと思われるくらいで、よく食料品で行われる価格は据え置きだけど、中身が減って、実質値上げみたいなことをやっているんじゃないか、とさえ思えた。いや、価格もきちんと上がっているので、ダブルの値上げをかまされたような気分になった。
今回は替え玉しなかったが、ラーメンに、味付けゆで卵、さらに替え玉まで入れると、1,270円というなかなかのお値段になってしまう。
 
まったくの余談だが、このコロナ禍で再評価された、元祖ソーシャルディスタンスと言われる、一蘭の仕切り。畳んで隣といっしょに食べることができるということを、今回はじめて知った。
 
ところで。思えば、私と一蘭の付き合いも長い。
おそらく1997年、大学に入ったばかりのころに、高校時代の同級生に連れて行ってもらったのがはじめてだと思うので、かれこれ20年以上の付き合いとなる。
 
これまた15年くらい前の話だが、前職で六本木勤務だったときには、オフィスのある六本木一丁目から、ミッドタウン近くの一蘭六本木店までよく行っていた。
22時ごろ仕事が終わってから、束の間のやすらぎを求めて、ちょっとわくわくしながら歩いて行ったのを覚えている。
 
さらには、今から2年前のライザップでのダイエットを経てからは、ラーメンは贅沢品ということで、日ごろはめったに食べないようになったが、それでも福岡に行ったときは、たまの一蘭を楽しんできた。
 
そんなこんなで今日である。
値上げがひどいから、もう一蘭には行かない、とかそういうことが言いたいわけではない。これからもたまには行くだろう。
 
むしろこのプライシング自体は妥当だと思っている。
一蘭は、地元のサラリーマン向けのお手頃な飲食店ではなく、インバウンド含めた観光客をターゲットとした観光スポットなのである。
価格は安い必要はない、というか安くてはいけないのである。また、麺の量も、替え玉という経験に価値があるのだから、はじめから多くてはいけないのである。
ちょっといいラーメンを、自分好みにカスタマイズして、さらには替え玉までして食べて帰る。この博多ラーメンの経験を買いに来ているので、この価格、この量でいいのだ。
 
しかしである。このコロナ禍で、インバウンド含めて観光客は軒並み減っている。
現に、盆休みという観光客でにぎわうはずだったこの時期に、13時過ぎに行ってガラガラであった。いつもならいる誘導する店員もいない。
これまでの感覚では、休日の13時はまだ行列ができていたはずである。それがまったく待たずに、家族3人が余裕で並んで食べることができたのである。
たまたまの可能性があるのでなんとも言えないが、平日の昼とかはどうなっているのだろうか、ちょっと気になった。
 
ターゲットを明確に地元民から観光客にスイッチして、その戦略はあたってきたわけでだが、このコロナ禍においては、その戦略が裏目に出るのではないだろうか。
少なくとも観光客が戻るまでは厳しいと思うのだけど、一蘭という稀代のラーメンチェーン、どのように対応してくるのかは興味深い。
今のまま観光客が戻ってくるのを待つのか、それとも価格政策を転換してくるのか、注視してみたいと思う。
 
ということで、なかなか福岡に行く機会もないのだけど、訪れた際にはまた行ってみようと思った、という話でした。