リスクの低い場所が過剰対応することで、リスクの高い人がリスクの高い場所に行ってしまうリスク

先日、家族旅行で県内の観光地(どこも屋外)に行ったのだが、その中で海の近く(というか断崖絶壁)に立つ神社に行った。すると、コロナの対策で、観光地として有名なその神社の鳥居は封鎖をされていた。
そこは海の近くということもあり、年中強い風が吹いていて、逆にどうすればウイルスに感染するのかわからないくらいであったが、どうも管理者はそこまで考えることなく鳥居を閉じたのであろうと思われる。
管理者からすれば、仮にここで感染したわけではなくても、他で感染した人が参拝にくれば、この場所で感染したと思われるリスクもあり、保守的な対応になってしまうのではわからないでもない。
ただ、感染リスクがかなり低い場所まで自粛や閉鎖をしてしまうことが、全体の感染防止という観点で、いいことなのかちょっと疑問に思った。
 
そんなことを思って振り返ってみると、緊急事態宣言が出た前後、全国でパチンコ屋が標的にされただが、ある地域で閉店したとしても、客は他の地域のパチンコ屋に流れてしまうということがあったことを思い出した。パチンコ屋自体は換気設備がバッチリ設置されているし、そもそも会話はほとんどないことから、感染リスクはもともと高くないのだが、それでも人々の行動範囲が広がることで、逆に感染リスクが高まる可能性があった。
 
他にも、プロ野球が6月に開幕したが、一部の球場ではアルコールが販売されていないらしく、そのことが感染リスクを高めるかもしれない。
アルコールが入ると大声を出す人が出てしまい、その結果感染リスクが高まるだろうということで禁止しているようだが、そもそも球場は屋外はもちろんのこと、ドーム球場でも換気設備がすぐれており、密閉にはなっていない。アルコールを飲もうが飲むまいが、感染リスクはそれほど上がらないはずである。
そのわずかな感染リスクの上昇をおそれるあまり、球場内でアルコール飲めなかった人たちが、試合終了後居酒屋に繰り出し、長時間大声で会話するほうがよほど危険だと思う。
それなら、球場でアルコールを販売して十分飲んでもらって、試合終了後はまっすぐ家に帰るようアナウンスするほうが、感染拡大を防止するという観点からは有効ではないだろうか。
 
ウイルス感染の特徴を考えると、個別でとった対策が、全体でみたときにマイナスになるということはあり得る。
比較的感染リスクが低い場所や施設が過剰に対策をしてしまうことで、とくにリスクの高い人たちが、よりリスクの高い場所に流れてしまうからである。
大半の人たちが「ステイホーム」していたとしても、行動したがる一部のリスクの高い人が、リスクの高い場所でリスクの高い行動をしてしまうことで、感染拡大してしまうことがあるということが、ウイルス感染の難しいところである。自己責任では済まないのである。
 
このように、ミクロの対応とマクロの反応が、思っていたのと違う状況になることがあるので、今一度、どうすれば感染する可能性があるのかという原理をみなが学んで、トータルでリスクをコントロールする必要があると考える。とはいえ、これは言うは易く行うは難しの典型ではあるのだけど。
 
ということで、結局何が言いたいかというと、キャンプ場でコロナ感染者が出たからといって、全国一斉にキャンプ場閉鎖なんてしないでね、ということでした。