感染したとき人に言えないような行動は取るべきはない

うちの会社では、新型コロナウイルスに関する対応としては、そのときどきや地域によって状況も変わるので、各自で考えて行動をするように指示をしている。
 
各自で判断できるようにするために、全社会議等で感染の原理原則を伝えてきた。
例えば、営業で顧客訪問する際も、先方から来てくれるなと言われればもちろん行かないが、感染の原則から考えると、いわゆる商談での感染リスクはかなり低いと思われるので、現地の状況を確認した上で訪問するようにしている。
また、会食についてもその地域での感染状況を把握して判断するよう、各部門の管理職に任せている。
 
こういった行動は、保守的に考えて、一律で禁止すれば話は早いのだが、実際に感染リスクがかなり低い行動まで制限をかけてしまうのは合理的ではないと思い、上述のような対応をとっている。
原理原則さえ理解すれば、感染リスクはかなり抑えられるので、そこをきちんと理解した上で行動してほしいと思い、社員とコミュニケーションを取ってきたつもりだった。
 
しかし、先日、説明した原則論を理解していないのか、それとも拡大解釈をしているのか、感染リスクが高い行動をしている社員がいるということがわかり、ちょっとショックだった。
 
コロナの感染に関しては、ある行動を取っての感染確率が1%だった場合、感染リスクは十分に高いと言っていいと思う。
少なくとも、一般的には感染リスクの高い行動だと思われている。
具体的には、感染が広がっている地域での、大人数での会食や、接待を伴う店への来店などがこれに該当する。
 
ただ、こういった行動をとっても、感染確率が1%であれば、確率的には100回のうち99回は感染しないのである。
だから、自分だけは大丈夫だろうとタカを括って、一般的にはリスクが高いと思われている行動を取ってしまう人が出てくる。
そして、その人は大丈夫だったとしても、100人が同じような行動を取ると、誰かは感染してしまうのである。
 
こういう行動をとって、万が一(というか百に一)感染してしまった場合、本人が感染で苦しむのは自己責任なので(よくはないのだが)いいとして、他の人への感染リスクが出てくる。
 
まずは家族。本人が感染して発症まで至れば高い確率(十に一以上、要するに数十パーセント)で感染するでことは免れない。ここは覚悟しておくべきである。
 
ただ、風邪の症状が出たら出社しない、近距離・長時間での会話を日ごろから避けるということを徹底しておけば、社内やお客さんへの感染はそれほど高くはない。
もちろんゼロではないが、こちらは数パーセントのオーダーであろう。
そう考えると、実際の感染リスクは、自分と家族までと考えていいと思う(ただし、家族も家庭以外で近距離・長時間での会話を避けていることが前提だが)。
 
もう1つ考慮しておかないといけないことが、会社のレピュテーションリスクである。
感染がわかった場合、もし発症の2~3日前に顧客訪問をしていたとすると、そのことはきちんと先方に伝える必要がある。
前述のとおり、マスクをつけて、近距離・長時間での会話を避けていれば、厳密には濃厚接触には当たらないが、それでも連絡することは必須であろう。
濃厚接触かどうかは、けっこう恣意的に決められるので、濃厚接触だと判断されれば、その相手は検査をすることになり、原則、陽性・陰性問わず2週間は出社禁止となる。
そういった意味では多大な迷惑をかけてしまう。
 
仮に濃厚接触でないと判断しても、感染の事実は伝えなくてはならず、その際にどういった経路で感染したのかは聞かれる可能性が高い。
そのときに感染の確率が高いと思われる行動をとっていたとなると、会社としてどういう管理をしていたのか疑われることになる。
その会社からは当面出入り禁止にされるだろうし、狭い業界なので噂が回れば、多くの会社から訪問禁止となる可能性まである。
このあたりまで理解した上での行動しないといけないのである。
 
では、どう考えて行動すべきなのか。
一般的に感染リスクが高いと思われている行動(=バレたときに非難を浴びる行動)をする際は、ほぼ100%感染しないという自信がなければやめておけということだ。
裏を返せば、感染した場合に、人に言えないような行動は取るべきはないということになる。
 
 
以上のことを、理解が足りていない社員には伝えようと思っている。
そして、ここまで考えて行動するのがめんどくさいということであれば、少しでもリスクのある行動は避けるべきだし、それでも行動が改まらないのであれば、やりたくはないが一律禁止ということも考えなくてはいけないと思っている。
 
ということで、感染の原則論は思っている以上に理解が難しいのかな、という話でした。