わかるって楽しい!

今年からうちの会社の管理職の月例会議で、課題図書を配ってその感想を各自が1分で発表するということをやっている。
これをやりだした目的は、私が言いたいことを本に代弁してもらうということと、本を読む習慣を身につけてもらいたいということからである。
では、なぜ本を読む習慣を身につけたほうがいいのか。
そこには3つの理由があると思っている。
 
1つ目は、これはうちの管理職に限ってのことかもしれないが、長い文章が読めない。そしてまとまった文章を書くことができない。読むことと書くことも非常に重要なビジネススキルなので、それを鍛えるには、本を読むということが回り道のようで早道だと思っている。
 
2つ目は、著者が考えた思考の結果をなぞることで、自分との対話のきっかけを与えてもらえると思っているからである。本という媒体はそれなりのボリュームがあり、中には冗長なものもあるが、良書は過不足なく著者の知見がつまっている。それを題材に自分の生き方や仕事などを考える時間にすることができる。これが人生を豊かにする上で、非常に効率的かつ効果的だと思うのである。
 
3つ目は、わかるということが楽しい、ということを実感してほしいから。2つ目と大いに関わってくるのだが、自分との対話を進めれば、何か「わかった!」と感じる瞬間がある。これを味わってほしいのである。わかるは楽しい、を実感してほしいのである。
 
ちなみに、私が「わかるは楽しい」と実感したのは、中学のときの数学の授業と記憶している。
その前にもあったのかもしれないが、意識して実感していて、かつ覚えているのはこれが一番古いと思う。
この先生の授業では、おおもとに立ち返るというか、きちんとはじめから教えていたのが印象に残っている。これは簡単なところに戻って教えるという意味ではなく、定義をきちんとするということである。最初の一歩目を曖昧にして進むのでなく、定義をきちんと説明してから話が展開していったので、私には「わかった!」と実感できたのを覚えている。
 
その後も(高校ではそういう経験をした記憶がないのだが)浪人時代通った予備校や、大学・大学院の授業などでも、そういった「わかる」という体験をしていたので、読書でも同じように「わかる」を実感できたのではないかと思っている。当然のことながら、「わかる」授業は全体から見ればごく一部なのだが、それでもそういった先生や授業と出会えたのでは、幸運だったと思っている。
 
ということで、読書には知的興奮があり、これがあるから本を読むのがやめられないと思っていて、この体験を多くのまわりの人たちにしてほしいと思っているのだが、うちの管理職はどうみても、同じような感覚にはなっていないようだ。
読書について話をすると、私と管理職には大きな隔たりというか溝があるように感じている。
これは、ある意味仕方がないことで、最初に持っている知識が少ないと「わかる」と感じるタイミングが少なくなってしまうのである。逆に、本を読む冊数が増えれば増えるほど、こういった「わかる」に遭遇する可能性は高まっていく。なので、最初はどうしても助走期間が必要となる。
 
そう考えると、この課題図書は読書習慣をつけるという目的に絞って、読ませたい本よりも、読んで面白い本、という基準で選んだほうがいいのかもしれない。
もしかすると、いきなり本から入るのもハードルが高いので、本を紹介したYouTubeから入ったほうがいいのかもしれない。
中田敦彦YouTube大学」や「サラリーマンYouTuberサラタメさん」など、書籍紹介のYouTubeコンテンツは増えてきており、手軽に楽しくエッセンスを学ぶことができる。まずは楽しいがあって、そこから本に誘導していくほうがいいかもしれない。そういえば「中田敦彦YouTube大学」のキャッチコピーは「学ぶって、楽しい。」だし。
 
ということで、人に何をさせるということは難しい、という話でした。