新型コロナウイルスから「工場を守る」

うちの会社は、自社で工場をもって運営している。
地方に工場を構えているので、今のところは影響なく操業できているが、新型コロナウイルスの影響が広がってくるとどうなるかわからない。
 
こうなってくると、経営者としてこわいのは、工場が止まってしまうことである。
言い方は悪いかもしれないが、営業が一時的に止まってもどうにかなるが、工場が動かないことには売上が立たない。
ただでさえ、厳しい経済環境の中で工場が止まってしまうことだけは避けたい、というのが本音である。
 
前の記事でも書いたとおり、3月下旬くらいまでは、正直なところこういった心配はしていなかったのだが、いよいよ現実味を帯びてきたので、いろいろなシミュレーションをするようになった。
どういう状況になったら、工場が止まってしまうのか?いくつかのシナリオが考えられる。ここでは以下の3つパターンをで考えてみたい。
 
1.工場内で複数の従業員が発症する
2.工場内の従業員1人が発症する
3.工場以外の従業員や工場の従業員の家族など接触する可能性がある人が発症する
 
1.工場内で複数の従業員が発症する
この場合は、もう致し方ない、というかすぐにストップであろう。インフルエンザであっても、人数によるが、一度に多くの従業員が発症したらそもそも操業できない。
ただ、インフルエンザの場合は、複数人が発症しても、最低限工場を動かすできる人数が元気であれば操業させるかと思う。健常者=無感染者と考えて問題ないと思われるからだ。これはワクチンがあるということ、潜伏期間が短いということで、こういう判断ができる。
ただ、新型コロナウイルスの場合は、この潜伏期間の扱いをどうするかで、解釈が分かれるし、社会的なコンセンサスがないので、判断が難しい。
 
とここまで、1の場合を想定していろいろと書いてみたが、現実的には、2か3を経て1になるので、これ以上議論してもあまり意味がないのかもしれない。
 
2.工場内の従業員1人が発症する
さて、ここからが難しいところである。
インフルエンザであれば、1人発症してすぐに工場を止める、ラインを止めるということにはならない。
新型コロナウイルスの場合はどうだろうか?
1人発症したら、そしてそれを公表したら、実際の感染がどうなるかは別にして、社会的にも工場をストップということなるのだろうか?
それとも、その発症者と濃厚接触者(=同じ職場の従業員)を休ませて、工場を稼働することは許されるのだろうか?
考えただけでも、判断に悩む。
書きながら思うのは、これはことが起きてから考えても良い判断ができそうにないので、事前によく考えておいて基準を決めておくことが大事ということだ。
ここでは結論は出ないが、よくよく考えておきたい。
 
3.工場以外の従業員や工場の従業員の家族など接触する可能性がある人が発症する
さらに悩むのが、このパターン。
実際にそこが感染ルートでないにしても、そこからの感染ルートを疑われる。
 
例えば、私は3月末に東京に出張に行ったのだが、仮にこのときに感染して発症したとする。
その場合、工場の従業員と直接話をしていなかったとしても、他の管理職やスタッフを介して、工場にウイルスが持ち込まれている可能性はゼロではない。
発症していない人からの感染の確率はきわめて低い、というレポートも出ているが、いわゆる一般の人からみると、感染者に触れたら自分も感染するような感覚なので、感染している可能性が低いと主張してもなかなか受け入れてもらえないだろう。
 
となると、実際に感染させないということはもちろん大事だが、感染させた可能性があるとも思われてはいけないのである。
具体的には、遡って2週間出張に出た従業員と工場の従業員はできるだけ接触させないほうがいい、ということになるし、今後はできるだけ感染の高い行動は取ってはいけないということになる。
出張はもちろんのこと、夜の会食も地方であっても減っていくことになるだろう。
 
 
と、ここまでいろいろ書いてきたが、自分なりの結論は出ていない。
だけど、これからは「工場を守る」、より正確に表現すると「工場稼働を守る」ということが、さまざまな行動の判断基準となるということは間違いなさそうだ。
 
具体的には、
・工場の従業員に感染させない
・工場以外の営業やスタッフに感染者が出たとしても、工場稼働に影響が出ないような対策をしておく
 
という方針までは明確に整理ができた。
あとは、個別具体例を想定して、準備(心の準備含めて)しておくということだろう。
 
なんてことを考えていると、国は自治体レベルの意思決定はほんと大変なんだろうなと思う。この令和の時代にそんなに大きく外れた政策が出てくる可能性も低いので、たまには意思決定者の気持ちを少し考えてみることが大事だな、と思った次第。
 
ということで、言うは易し行うは難しの一例の紹介でした。