大企業も1つ舵取りを間違えれば崩壊していく

ここ数日で、前に読んだ「トヨトミの野望」をオーディオブックで聞き直し、最近出た「トヨトミの逆襲」をKindleで読んだ。
この2作は、フィクションという形式をとりながらも、トヨタで起きている内情を描き出している作品と言われている。
フィクションなのか、ノンフィクションなのか、どこまで事実で、どこから創作なのかはわからないが、相当の取材力と編集能力で物語をつくりあげている。
トヨトミの逆襲

トヨトミの逆襲

 
トヨトミの野望 (小学館文庫)

トヨトミの野望 (小学館文庫)

 

 

この2作を読んでの率直な感想は、いくら日本を代表する大企業であっても、舵取りを間違えればそこからヒビが入り崩れていくということに直面する可能性があるということ。

またそのことを本当に実感しているのは(大企業であっても)経営者だけかも知れない、ということであった。
 
一方で、最近、鉄鋼業界で最大手日本製鉄の大きな赤字とリストラがニュースとなった。
自動車と並んで、日本の基幹産業である鉄鋼業最大手で、製鉄所の閉鎖などが報じられ、地域や業界に対する影響の大きさが懸念されている。
昨今の国内の需要減、またコストの低い海外からの供給増が、国内最大手の経営を圧迫しているとのことだが、需要にあわせて固定費を最適化するか、固定費分の売上を維持するかという、いわば当たり前のことが問われている。
固定費を下げる、売上を上げる、どちらの方向性が正しいのか私にはわからないし、おそらく単純な二者択一ではない。しかし、どちらにしろ適切なタイミングで適切な打ち手を打ち続けなければ、大企業であってもその経営は傾く可能性があるということである。
 
私も地方で中小企業の経営をしているが、規模に関係なく、かかっている固定費分の限界利益を稼ぐことができなくなれば赤字になり、それが積み重なれば会社は存続できない。
漠然と大企業は経営に余裕があっていいよな、なんて思っていたが、当事者とすればそんなことはないし、むしろ大企業だからこそのプレッシャーたるや想像以上である、という当たり前のことを 「トヨトミの野望」「トヨトミの逆襲」2作と上記ニュースから感じることができた。
 
直近いろいろとうまくいかないことが多いのだが、うちの会社の規模であれば、私自身が発揮できる影響力の会社全体に占める割合も大きく、できることも多いなとも思った。
 
ということで、読書を通じて、井の中の蛙が大海のことをちょっとだけ想像することができたし、そこから自分を客観視することができたという話でした。