野球における、チャンスをつくる力と得点する力

ここ最近、野球場に野球の試合を観に行く機会がけっこうある。
プロ野球の試合だけでなく、社会人野球の応援に行ったり、母校の高校野球の地方予選を観に行ったりと、ちょくちょく試合を見ている。
 
野球という競技は、下馬評がひっくり返ることが多い競技で、ジャイアント・キリングが起きやすい競技と言える。
もともとの実力どおりの結果にならないことが多く、プロ野球なんかでも1位予想が多い球団が必ずしも優勝するとは限らないし、優勝チームの勝率も、他の競技に比べると低かったりする。
 
そんな野球を見ていて、最近感じたことは、いわゆる選手の個人能力が高いほどチームとして強いのは間違いないのだが、個人能力の高さはチャンスをつくる力に直結していて、それを得点に結びつけるのは、個々の能力だけでなく、采配というかベンチマネジメントの影響力が強いでのはないか、ということである。
 
この夏、母校の夏の高校野球地方予選を観に行ったのだが、相手は優勝候補のチームだった(相手チームは実際に優勝して甲子園に出場した)。そんな下馬評だったので、一方的な試合になるかと思いきや、案外もしかしたら勝てるかもという試合をしたのである。
もちろん、相手のほうが自力は上なので、相手のほうがチャンスをつくる回は多く、母校のほうは少ない。ただ、そのチャンスを活かして点を取れるかは、監督の采配などの作戦面も大きく影響してくるように感じたわけである。
そういった視点でみると、相手はチャンスが多く、それを着実に得点に結びつけていたのだが、それに対して私の母校はチャンスになる回は少なく、たしか1回か2回しかなかったのだが、このうち1回で複数得点をとって、もしかしたらという展開にもっていった。
ただ、弱いほうのチームはチャンスをつくれる回数が少なくなるわけだから、それだけリスクを冒した攻撃をしなければならず、そうなると送りバントような作戦は使わないほうがいいのだが、母校の監督は何を考えたのか、試合終盤の3点差で負けている場面のノーアウト1塁で送りバントを選択。リスクを冒して積極的に攻めなければならない場面で、よくわからない作戦を指示して、結局負けてしまった。
 
要するに何が言いたいかというと、自力で劣るチームは、チャンスの回数が少なくなるから、少ないチャンスを得点に結びつけるためには、リスクを負った作戦が必要ということ。チャンスが少ないので、そこで何点とれるかが試合を左右する。
一方で選手の能力の高いチームはチャンスの回数が多くなるので、リスクを負う必要はない。手堅く点をとってもいいし、一気に仕掛けることもできる。
ただ、野球の面白いところは、そんな自力で劣るチームでも、ベンチの作戦でチャンスを得点に結びつける可能性はいくらもあるので、場合によって戦前の予想を覆す結果になるかしれないということ。
そんなことを実際に現地で試合を見ながら思った次第である。
 
まとめると、野球の攻撃において、チャンスをつくる力とそれを得点に結びつける力に分けて考えると面白く、チャンスをつくる回数は選手個々の能力に直結し、そのチャンスを得点に結びつけるには、相対的にベンチワークが寄与する比率が大きいのではないか、という仮説の話でした。