2024年2月に読んだ/聞いた本の感想

今年は個人目標として、5冊の読書を掲げているが、2月も5冊ほど読む(聞く)ことができたので、3月も前半戦が終わりそうなタイミングではあるが、ここでは2月に読んだ(聞いた)本の感想をまとめておきたい。
 
2月に読んだ(聞いた)本は以下のとおり。
・価値こそすべて(紙の本)
・日本製鉄の転生(紙の本)
・Sleep, Sleep, Sleep(Audiobook)
サイコロジー・オブ・マネー(Audiobook)
 
価値こそすべて
ハーバード・ビジネス・スクール教授であるフェリックス・オーバーフォルツァー・ジー氏の著書。
海外の大学教授が書いた本ということで、読むのにけっこうな時間がかかった。最近ではこういった学術的なビジネス書を読む体力がなくなってきているが、この本は最後まで読んで良かったと思う。
 
本書は、バリュースティックというモデルで一貫して説明されている。
このバリュースティックは、上端にWTP(Willingness to pay/支払い意思額)、下端にWTS(Willingness to sell/売却意思額)があり、その間に価格とコストがあって、WTPとWTSの差が想像された価値と示し、WTPと価格の差が顧客の利益(顧客歓喜)、価格とコストの差が企業の利益(マージン)、コストとWTSの差が従業員やサプライヤーの利益(従業員満足度、サプライヤーの余剰利益)と考えることができるとしている。
企業としては、WTPを高めることや、WTSを下げることで競争優位を獲得できるので、ここに注力すべきということを説き、その方法を論じている。
できればWTPとWTSの両方に効くような施策を考えたいところ。スタバの店舗づくりなんかはいい例で、顧客は他の店舗よりも余計に支払ってもいいと感じているし、従業員は少々給与が安くてもスタバで働きたいと思う。
B2Cであれば、似たような施策は考えられそうだが、B2Bでしかも工場を運営するような会社だと一挙両得は難しいのかと思ったりした。とはいえ、一石二鳥でなくても、このWTPを高める施策、WTSを低くする施策を考えてみたいと思う。
 
 
日経ビジネスでの連載をまとめた書籍。著者は日経ビジネスの副編集長。最近日経ビジネスは有料会員でないと記事が読めないので、こうして書籍化されてまとめて読めるのはありがたい。鉄鋼関連の業界に属する人間として興味深く読むことができた。
内容としては、高炉削減、値上げ、海外M&A、グローバル3.0、巨額投資(名古屋ハイテン材の熱延ライン)、脱炭素政策、高炉トラブルへの対応、原料問題、橋本社長インタビュー、と多岐にわたるトピック。人にフォーカスを当てており、日本製鉄の内情が(良いように描かれてはいるが)よくわかる良書だと感じた。
本書は、日本製鉄の採用にも良い影響があるのではないだろうか。これ読んでテンション上がる学生は多そう。一周回って、こういった重厚長大がかっこいいとはなるといいなと思った。
 
最後に日本製鉄橋本社長のインタビューがあるが、その中で「社長のKPIは社員の給料をどれだけ上げられたか」という言葉には考えさせられた。
うちの会社も鉄鋼業界の一部になるのだが、給与を着実に上げるには、赤字にならない会社が前提。そのためには、材料市況の変化にも耐えうる事業構造の構築、これが大事だと考える。足元、材料市況は弱含みで、それに伴いうちの会社の業績も正直パッとしないのだが、その中で市況を形成する要素としての、仕入れ価格の変遷と、市場の在庫の推移、このあたりを注視しながら経営をする必要があるとともに、市況に影響を受けにくい事業をどう成長させていくかという2つの方向からのアプローチが必要であることを再確認することができた。
 
 
同書は、最近書店で平積みされていることの多い「熟睡者」の旧版。「熟睡者」はKindleで購入して読んでいたが、途中で挫折。Audiobookで旧版の同書が出ていたので、購入して聞いてみた。
内容としては、正直あまり印象に残った箇所はなかった。レム睡眠やノンレム睡眠の解説など、これまでに読んだことある睡眠本と比べて、特段新しい内容はなかったような気がしている。耳読書ということもあって、すーっと流れてしまった。ということで、感想もとくになし。
 
 
岡田尊司氏の書籍は、学術的に整理された内容のものと、氏の経験をもとにエッセイ風に書かれているものがあり、この本は前者。個人的には、前者の内容のものを求めているので良かった。
3歳半の息子が、発達障害の疑いありということで自閉スペクトラム症の仮診断を受けていることもあり、この手の発達障害の本を最近読んでいるのだが、同書では自閉スペクトラム症の定義や診断される条件が整理されており、理解が深まった。
息子は、子ども医療福祉センターで療育を受けているが、その中でトランポリンやブランコ、ボールプールなどでただ遊ぶだけというプログラムがあり、これがどういう意味があるのかよくわからなかったのだが、これは感覚統合療法と呼ばれるもので、ASDの療育に広く取り入れられているということを知ることもできた。
 
 
こちらは、Audiobookでだいぶ前に購入して積ん読状態になっていたものをこのタイミングで聞いた。
人々のお金に関する心理や行動に焦点を当てた内容で、各章それぞれで興味深い内容で、お金にまつわる考え方が整理された良書。
とくに関心を引いた箇所が2つ。
1つは、ポートフォリオの話。すべての投資がうまくいく必要はなく、広く分散させてそのうちの1つが当たればいいという思考は応用が効きそう。Amazonも多くのビジネスを展開し、そのうち大きく当たったものが同社を牽引をしているという話は面白かった。Fire Phoneの失敗があるからこそ、AWSの成功があるように、多くに分散投資することがうまくいくカギであることを忘れないようにしたい。
もう1つは、時間を味方にするということ。いわゆる複利の効果について。ウォーレン・バフェットの富のほとんどは65歳以降に得たものというエピソードが興味をひく。早くはじめることで、時間が経てば経つほど複利の効果が効いてくるわけで、これも忘れずに肝に銘じておくことかと思う。
 
以上、2月に読んだ/聞いた本の感想でした。