子どもの医療費無償化にみる、タダより高いものはないという事実

先日、うちの子どもが風邪の症状があったので、小児科を受診した。
混んでいるのはわかっていたので、夕方閉院前に行って、診てもらった。それでも、最初の予約から薬をもらうまでに2時間弱。一仕事終えたという感じになった。
 
で、薬をもらって帰ったのだが、いつも思うのが、もらう薬の量の多さ。
多めに出してくれるのはいいが、さすがに2週間分もいらない。毎回、このくらいの量をもらうので、だいたい余ってしまう。
現在、薬が足りていないという報道を見たが、そりゃこれだけ出していればなくなるよな、と思ってしまった。
実際、今回はドライシロップが欠品になっているとのことで、何か他のものをいっしょに飲ませてほしいと言われた。
 
社会保険料の増加に現役世代が悲鳴をあげつつある中、高齢者の医療費負担がよく問題になっているが、個人的には子どもの医療費無償化も問題かと思っている。
いつごろから子どもの医療費がタダになったのかよく覚えていないが、少なくとも私が子どものころは無償ではなかったと記憶している。法的には、未就学児が2割負担、小学生以上は3割負担だが、各自治体が助成して無償化が実現しているとのこと。私が住んでいる自治体では、今年から中学生までが無償化になったとのこと。
 
この子どもの医療費無償化は、一見いいことのように思われているが、2つの点からモラルハザードが起こっているように感じている。
1つは、とりあえず受診しておこう、とりあえず受診させようとする親や学校の意識の点。
コロナもあったので、仕方がない面もあるかもしれないが、安心を得たいがために受診するといったケースが増えているように見える。
 
もう1つは、とりあえず薬を出しておこう、それも多めにという、病院側の意識の点。
受診料だけでなく、薬も無料なので、どうも病院側が多めに薬を出す傾向にある。上述したように、毎回2週間分も薬はいらない。1週間経って治らなければ、また受診することになるだろうから。
そのことによって、国全体で見れば、飲まれないまま捨てられる薬はかなりの量になるのではないだろうか。
 
やはり、医療費は無償化すればいいというわけでないと思う。高齢者の3割負担もぜひ実現させてほしいところだが、子どものほうも少しだけでも払ってもらうようにしたほうがいい。少しでも払わないといけないとなれば、受診をするかどうかの判断もするだろうし、病院側もむやみに薬を出さなくなるはずである。
少子化の中、各自治体は医療費の助成で人気取りをしていて、そのこと自体は否定されるものではないが、それでもタダではいけないと思った次第である。
 
ということで、タダより高いものはない、という話でした。