マシュマロテストと、アリとキリギリス

先週末、いつものように、子どもたち(小学1年生の娘と2歳の息子)を連れて、近くの温泉に行ってきた。
娘はそろそろ混浴が気になる年頃のようで、私の住んでいる地域ではとくに条例では子どもの混浴については制限されていないものの、もう少しでいっしょに温泉に入ることはできないのかな、なんて思いはじめている。
 
さて、そんな娘が、温泉に入る前に、施設に置いてあってガチャガチャを見て、やりたいと駄々をこねはじめた。
基本的に、ガチャガチャ禁止の方針の私としては、いつもどおりダメと一点張り。
 
浴室に入ってからも、娘はガチャガチャのことばかりを言うので、めんどくさくなった私は、「そんなにやりたいのなら、今後ずっとハッピーセットでおもちゃなしでもいいというならいいよ」と言ってしまった。
言うまでもなく、ハッピーセットとはマクドナルドの子ども向けセットメニューで、もれなくおもちゃや絵本などの付録がついてくる。
娘はちょっと前まで、店の名前ではなく、ハッピーセットマクドナルドを認識していたくらいで、今でもマクドナルドやハッピーセットと言えば、おもちゃ目当てに二つ返事で飛びついてくる。
 
そんなハッピーセットを交渉のネタにすれば、さすがの娘もガチャガチャのほうを引っ込めるかと思いきや、即答で「それでもいい」と言い出した。
NOを突き通せば良かったのに、変な条件を出してしまったがために、話はややこしくなってしまった。
 
この娘の回答を聞いて、私はマシュマロテストが思い浮かんだ。
マシュマロテストとは、子どもの自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験のことで、4歳の子どもの目の前にマシュマロを1つ置き、それを食べるのを15分我慢できたら、もう1つあげるという条件を提示し、我慢できた子どもと我慢できなかった子どもで、成長後の社会的成功度合いに差異が生じたというもの。
 
もう7歳になるうちの娘が、今後のハッピーセットのおもちゃを放棄してまで、目の前のガチャガチャを選ぼうとしており、親としてはさすがにちょっと心配になった。
このままでは、大人になっても親にお小遣いをせがみにくるのではないかと思ったりした。いや、お小遣いであれば、まだいい。知らぬ間に高利貸しに手を出して、にっちもさっちもいかない状況になるのではないかと、かなり本気で心配になった。
 
心配になった私は、ここから、目の前の快楽(今ガチャガチャをやって満足すること)を求めて未来の利得を放棄すること(今後のハッピーセットのおもちゃを得る権利を手放してしまうこと)の軽率さを娘に説き始めた。
 
直接的に訴えるだけではイメージしづらいようだったので、例えとして、マシュマロテストの話もしてみた。しかし、娘はいまいちピンときていない様子。
さすがに、ちょっとややこしかったかと反省した私は、ちょっと前に娘といっしょに読んだ「アリとキリギリス」を思い出し、娘に対して、おまえの考え方はキリギリスと同じだよ、と説明してみた。
これはイメージができたみたいで、キリギリスと同じではさすがにまずいと感じてくれたようだった。
 
ここで、一応あきらめてみたものの、まだ未練が残っているようではあり、風呂から出てもブーブー言っている娘であったが、ガチャガチャはスルーして帰宅することになった。
とりあえず、ハッピーセットの永久放棄を思いとどまってくれたことで、親としてはちょっとは安心したが、どうも目の前を謳歌してしまう性格のようなので、今後も注意して未来をイメージできるように教育していく必要があると感じた次第である。
 
ということで、娘がわかる例え話を考えるようにしようと思った、という話でした。